症候性てんかんにより、就労しながら障害厚生年金3級を受給できたケース
請求者
- 男性(30代)
- 傷病名:症候性てんかん
- 年金種類と等級:障害厚生年金3級
病歴
- 脳腫瘍摘出手術後、てんかん発作を発症。
- 内服治療を継続中でも頻繁に発作が起きる。
ご相談時の状況
- 請求者の奥様にご来所いただき「てんかん発作が障害年金の対象と知った。手続きが複雑そうなので、専門家のサポートを受けたい。」との相談をお受けしました。
サポート内容
1. 初診日の特定
- 障害年金認定基準では、下記の記述があります。
「初診日」とは、障害の原因となった傷病につき、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいう。 - 請求者様の傷病名(症候性てんかん)から、「脳腫瘍」と「てんかん発作」に相当因果関係があると主張する方針で、初診日を特定しました。
→脳腫瘍を疑われた病院の初診日について「受診状況等証明書」を取得しました。
2. 診断書および障害認定基準
- 障害年金を請求する場合、「てんかん」は精神の障害と区分されています。
- 診断書は様式120号の4(精神の障害用)を使用します。
- てんかんの認定基準は「てんかん発作の重症度と頻度」に加え「発作が治まっている期間の精神症状などによる日常生活能力低下の程度」から審査されます。
→請求者様は発作が起こった際に意識を失い、その都度救急搬送されているとのことでした。カルテ等で確認できる発作について診断書に記述いただくよう、依頼しました。
→発作が収まっている期間の日常生活の様子や、就労で配慮を受けている事柄について請求者様と奥様から詳しくお伺いしました。内容をまとめ、主治医にお伝えできるようにしました。
3. 障害認定日請求
- 初診日から1年6か月後の障害認定日の症状について、裁定請求を行いました。
- 請求時点で障害認定日から1年以上経過していましたので、障害認定日頃と請求時点の各診断書を提出し、遡及請求を行いました。
結果
- 障害厚生年金3級 認定
- 遡及分 188万円 支給
請求を終えて
- 今回の請求では「症候性てんかん」と「脳腫瘍」に相当因果関係が認められ、脳腫瘍の初診日を「症候性てんかん」の初診日と決定されました。相当因果関係が認められず、2つの傷病が別傷病と判断された場合には請求傷病の初診日をもとに請求を行うことになります。そのため診断書の記載内容を慎重に検討いたしました。
- 弊所では、相当因果関係が認められなかった場合の請求方法についても検討いたしました。
- てんかんによる障害年金は発作の回数や重症度だけで認定されるのではなく、発作がない期間の症状も審査されます。処方薬の副作用で眠気があるなど、発作がない期間の日常生活で制限を受ける事柄について、具体的に医師に伝えることが重要です。
- 障害認定基準では3級に相当すると認められる例示に「労働が制限をうけるもの」と記載しています。フルタイムで働ける場合でも、職場の配慮や就業の制限が必要な状態であれば、上記基準に該当する可能性があります。
- 専門的な判断が必要なケースについては、専門家にご相談ください。