障害年金Q&A

住んでいる市区町村によって制度に違いはあるのか?

障害年金制度は住んでいる市区町村によって違いはない

相談

障害年金制度は全国共通の国民年金保険法及び厚生年金保険法によって運用されていますので、住所地の市区町村によって制度に違いはないのが原則です。

現在では、全国の何処の市区町村役場の窓口や年金事務所に障害年金の請求書を提出しても、同じ基準で障害年金の審査が行われます。

以前は、障害年金の審査が甘く障害年金が受給しやすい都道府県と、審査が厳しく障害年金が受給しにくい都道府県があり、その地域間格差が問題となった時期もありましたが、現在はその問題は改善されつつあります。

障害基礎年金の障害認定の地域差問題について

かつては、障害基礎年金の不支給決定率が、請求者が住んでいる都道府県によって大きく異なることが問題となっておりました。

平成22年度から平成24年度までの不支給決定率の平均値は、栃木県では最も低く4.0%、大分県では最も高く24.4%となっていました。

つまり栃木県で100件の障害基礎年金の申請があるとすると、そのうちの96件は支給決定、残りの4件は不支給決定となっていた計算です。

一方の大分県では、100件の障害年金の申請に対し、おおよそ75件は支給決定、残りの25件は不支給決定となっていたのです。

不支給決定率の高い(障害基礎年金の審査が厳しい)都道府県を上位5位まで上げると次のようになります。

第1位 大分県 24.4%
第2位 茨城県 23.2%
第3位 佐賀県 22.9%
第4位 兵庫県 22.4%
第5位 広島県 21.2%

反対に不支給決定率の低い(障害基礎年金の審査が緩い)都道府県を上げると次のようになります。

第1位 栃木県 4.0%
第2位 新潟県 5.2%
第3位 宮城県 5.7%
第4位 長野県 5.8%
第5位 島根県 6.5%

都道府県ごとの不支給決定率が高い地域では、精神障害・知的障害の等級非該当割合も高く、不支給率が低い地域では精神障害・知的障害の等級非該当割合も低いという特徴もありました。

このことは、地域間の不支給決定率の相違は、主に精神障害・知的障害の認定のばらつきが原因であることを示しています。

障害基礎年金の審査がすべて東京で行われるようになった

相談

このように都道府県ごとの不支給決定率にばらつきが存在していた原因として、障害基礎年金の審査が各都道府県ごとに設置されていた事務センターで行われていたことにより、全国的に統一された基準で障害年金の審査が行われていなかったことが考えられます。

この問題については、平成27年4月には障害基礎年金の審査体制が変更となり、各都道府県ごとに設置した事務センターでの障害基礎年金の審査を廃止し、すべての障害基礎年金の審査を東京に設置された障害年金センターで行うことによって、改善の方向に向かっているとされています。

ただし、この審査体制の変更によって1千人近くが突然障害基礎年金の支給を打ち切りを予告され、大きな問題となりました。