代謝疾患による障害
代謝疾患による障害は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に区別されます。
認定の対象となる代謝疾患による障害では、そのほとんどが糖尿病であるため、糖尿病における認定基準が定められています。
糖尿病の障害認定は、治療を行ってもなお血糖コントロールが困難な症状の方が対象となります。
障害等級は1級、2級、3級の3種類の等級に分けられており、障害手当金に該当するものは原則ありません。
障害年金が受給できるかどうかの認定基準は下記のとおりです。
代謝疾患の障害における障害年金の等級と障害の状態
- 障害等級1級
- 身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 障害等級2級
- 身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 障害等級3級
- 身体の機能に、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
代謝疾患による障害の程度
合併症の有無、代謝のコントロール状態、治療および症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮して、総合的に認定されます。
糖尿病
その原因を問わず、インスリンの作用不足による糖質、脂質、タンパク質の代謝異常によるものであり、その中心は高血糖です。
糖尿病における血糖コントロールが難しい状態が長年に続くと、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性壊疽等の合併症を引き起こすことになります。
糖尿病の認定は、血糖のコントロール状態そのものの認定だけではなく、多くは糖尿病合併症に対する認定となっています。
障害等級の認定
必要なインスリン治療を行っているにも関わらず、血糖のコントロールが難しい場合、次のいずれかに該当した場合には障害等級3級として認定されます。
ただし、検査日より前に90日以上継続して必要なインスリン治療を行っていることを確認できた場合に限り、認定の対象となるため注意が必要です。
また、症状、検査結果、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定される可能性もあります。
- 内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時または随時の血清Cペプチド値が0.3ng/ml未満を示すもので、かつ、歩行や軽い家事、事務程度のことであればできる、もしくは、日中の50%以上は起居している状態
※Cペプチド値は膵臓からのインスリン分泌の程度を把握するものです。 - 意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月1回以上あるもので、かつ、歩行や軽い家事、事務程度のことであればできる、もしくは、日中の50%以上は起居している状態
- インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシスまたは高血糖高浸透圧症候群による入院が年1回以上あるもので、かつ、歩行や軽い家事、事務程度のことであればできる、もしくは、日中の50%以上は起居している状態
日常生活状況の程度
平成28年6月1日「代謝疾患(糖尿病)による障害」の認定基準の一部が改正されました。
1日の間に低血糖と高血糖を繰り返してしまう1型糖尿病を発症している場合には、
低血糖が原因で動悸、手足の震え、めまい、疲労感等が生じ、さらに血糖値が20mg/dlを下回った場合には、痙攣や意識の消失等、命に危険を及ぼしかねません。
このような低血糖が原因による発作を抱えている場合、就労にも支障が生じます。
糖尿病の改正では、一般状態区分表により、糖尿病による日常生活や就労に支障が生じている状態の程度を判定する基準が加えられました。
合併症
糖尿病性網膜症の場合は眼の障害、糖尿病性壊疸では肢体の障害、糖尿病性神経障害では神経系統の障害、糖尿病性腎症では腎疾患の障害として認定されます。