肝疾患による障害

肝疾患による障害では
- 慢性かつびまん性の肝疾患の結果生じた肝硬変症
- それに付随する食道・胃などの静脈瘤
- 特発性細菌性腹膜炎、肝がん等
肝疾患による障害の程度としては、
- 自覚症状
- 医師等の他覚所見
- 検査成績
- 日常的に行うことができる動作や就労の状態
- 治療および病状の経過
- 具体的な日常生活状況
障害等級は1級、2級、3級の3種類の等級に分けられており、障害手当金に該当するものは原則ありません。
障害年金が受給できるかどうかの認定基準は下記のとおりです。
肝疾患の障害における障害年金の等級と障害の状態
- 障害等級1級
- ・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 障害等級2級
- ・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 障害等級3級
- ・身体の機能に、労働が制限を受けるか、または労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
肝疾患の主要な症状

- 易疲労感
- 全身倦怠感
- 腹部膨満感
- 発熱
- 食欲不振
- 悪心
- 嘔吐
- 皮膚そう痒感
- 吐血
- 下血
- 有痛性筋痙攣等の自覚症状
- 肝萎縮
- 脾腫大
- 浮腫
- 黄疸
- 腹壁静脈怒張
- 食道・胃静脈瘤
- 肝性脳症
- 出血傾向等の他覚所見
肝硬変
その発症している原因によって、病状、進行状況が異なるため、それぞれの疾患固有の病態に合わせて認定されます。
またアルコール性肝硬変については、継続して必要な治療を行っていることに加え、 検査日より前に180日以上アルコールを摂取していないことが確認できた場合のみ、認定されることになっています。
慢性肝炎
原則認定の対象となりませんが、検査成績や臨床所見で複数の高度な異常が見受けられ、 日常生活や就労においても制限されている状態に相当する場合には、認定の対象となる可能性があります。
食道・胃などの静脈瘤
吐血、下血の既往、治療歴の有無およびその頻度、治療効果を参考として血清総ビリルビンや血小板数等の検査項目や臨床所見の異常等もふまえて総合的に認定されます。 特発性細菌性腹膜炎についても同様です。
肝がん
血清総ビリルビンや血小板数等の検査項目や臨床所見の異常等、肝がんによる障害の程度を考慮したうえで、「悪性新生物(がん)による障害」の基準により、認定されます。
肝臓移植の取り扱い
肝臓移植を受けた場合の障害認定に当たっては、術後の症状、治癒の経過、検査成績および予後等を十分に考慮して総合的に認定されます。
また、障害年金受給者が肝臓移植を受けた場合、臓器が生着して安定して機能するまでの間を考慮して、術後1年間は従前の等級として扱われることになります。