発達障害と診断された皆様へ
発達障害でも障害年金の受給は可能
発達障害には、自閉症、アスペルガー症候群その他汎用性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害があります。
発達障害は、知能指数が高くても、社会行動やコミニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通が円滑に行うことができないため、日常生活に制限を受けることに注目して認定が行われます。
発達障害に限らず、すべての障害について言えることですが、障害年金を受けるためには医師の診断により傷病名が決定され、治療を受けていることが必要です。
社会行動やコミニケーション能力に問題があって対人関係が円滑に行えない場合でも、医師によって発達障害と診断されない限りは、障害年金の対象にはなりません。
発達障害の障害認定基準
発達障害に関する障害年金の認定基準は以下のとおりとなっています。
第1級
発達障害があり、社会性やコミニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
第2級
発達障害があり、社会性やコミニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの。
第3級
発達障害があり、社会性やコミニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの
障害の認定に当たっては、労働に従事している事実をもって直ちに日常生活への適応能力が向上したと判断しないことが、重要とされています。
就労しているとしても、療養状況や仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の職員との意思疎通等を十分確認した上で、日常生活能力を判断します。
確かに、障害認定において就労しているという事実があれば、一般的には、認定外(障害年金が不支給ということ)になり易くなります。
しかし、発達障害の認定に当たっては、就労しているという事実をもって認定外とするのではなく、上記の様々な事情を総合的に考慮して認定するのかしないのかを判断すべきとされます。
発達障害の初診日について
発達障害によって初めて医師の診断を受けた日が20歳前であれば、初診日は20歳前となり、原則として、20歳前傷病による障害基礎年金(本人の所得制限あり)しか請求できません。
一方、発達障害によって初めて医師の診断を受けた日が20歳後であれば、初診日は20歳後となり障害基礎年金(本人の所得制限なし)、初診日が厚生年金の被保険者期間中にあれば障害厚生年金が請求できます。
障害厚生年金が請求できる場合、障害等級が1級及び2級であれば、障害基礎年金と障害厚生年金が併せて受給できます。
また、障害厚生年年金には障害基礎年金にはない3級がありますので、比較的軽い状態でも障害年金が受給できます。
ちなみに、高校卒業後に会社に就職した場合で厚生年金に加入している期間に発達障害で初めて医師の診断を受けた場合には、その診断を受けた日が20歳前でも、障害厚生年金が請求できます。
なお、発達障害でも精神遅滞等の知的障害を伴う場合には、先天性と判断され初診日が0歳とみなされるので、障害基礎年金しか請求できません。
アスペルガー症候群などの発達障害は子供の時には気が付かず、成人して会社に就職してコミニケーションがうまく取れないところから障害に気が付くことが多くなります。
また、自閉症なども、学校生活期間は何とか乗り切れたので潜在化していたものの、就職してより厳しい職業生活に入ると耐えきれなくて発症するケースがよくあります。
従って、初診日が20歳後になるケース(大人の発達障害)が多くなるのですが、一定の場合には初診日が0歳と判断され20歳前傷病による障害基礎年金しか請求できないので注意が必要です。