統合失調症による障害年金の概要や認定のポイントについて

統合失調症とはどんな病気か

私たちは、喜びや悲しみ、楽しみといった様々な感情を持っています。また、常に思考を繰り返しています。そういった感情や思考を脳内のネットワークにとって統制して、人間らしく暮らしています。

しかし、脳内のネットワークがうまく機能しないと、感情や思考の統制が取れず、正常な人が泣き出す場面で笑い出したり、反対に喜ぶべき場面で泣き出したりします。そうすると、病的になってきます。

統合失調症とは、精神機能のネットワークがうまく働かなくなり、感情や思考をまとめ上げることができなくなった状態が長期的に続く精神の病気です。

統合失調症の具体的な症状には次のようなものがあります

  • 喜怒哀楽の表現が乏しくなる
  • 意欲や気力が低下する
  • 会話の量が減り、意味不明の内容となる
  • 人とのかかわりが減り、部屋に閉じこもるようになる
  • 現実にないものをあるように感じる
  • 現実にはあり得ないようなことを信じ込む
  • 誰かに支配されていると感じる
  • 誰かに悪口を言われていると思い込む

相談する患者イラスト

こういった状態は誰にでもあることですが、その程度が激しく、しかも長期間にわたり継続するので、日常生活に支障が出てるようになってくると、統合失調症になります。

統合失調症の治療方法としては、抗精神病薬が中心となりますが、心理社会的なリハビリテーション、社会復帰のための福祉、地域の支援も重要です。

統合失調症の方が、治療に専念するため、又は、社会復帰に向けて安心して訓練するためにも、障害年金は重要な役割を果たします。

統合失調症による障害の障害認定のポイント

相談票記入イラスト

統合失調症は、罹患後数年ないし十数年の経過中に症状が好転することあり、又その反面急激に増悪しその状態が持続することもある疾患であります。よって、その障害認定に際しては発病時からの療養及び症状の経過を十分に考慮すべきとされています。

従って、障害年金の請求書に添付する病歴・就労状況等申立書は、請求者の発病時から現在に至るまでの療養の状態や就労の状態を、正確かつ詳細に記入していく必要があります。

また、すべての精神の障害による障害年金の請求について言えることですが、精神の障害による障害年金の審査は、診断書の裏面の「日常生活能力の判定」の各項目の点数の平均と「日常生活能力の程度」の段階によって、ある程度客観的に決まってきます。

統合失調症による障害年金の請求においても、「日常生活能力の判定」の各項目の点数の平均と「日常生活能力の程度」の段階は等級審査に重大な影響を与えます。

障害年金を受給するために虚偽の記入(わざと重い症状を記載する)をすることは当然あってはなりませんが、この欄をいい加減に記載していると審査が通る請求も通らなくなってしまいます。

診断書におけるこの部分の記載は審査において非常に重要な部分です。診断書を作成する医師に、判定項目となっている日常生活の状況を正確に伝え、事実を確実に記載してもらえるよう依頼しておくと良いでしょう。