障害年金手帳の種類

障害者手帳には3種類ある

障害者手帳には以下の3つの種類があります。

  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者健康福祉手帳
  • 療育手帳

身体障害者手帳と療育手帳には、手帳の表紙に、それぞれ「身体障害者手帳」及び「療育手帳」の文字が印字されておりますが、精神障害者福祉手帳には、表紙に、「障害者手帳」としか印字されていませんので、ただ単に、障害者手帳というと、「精神障害者保健福祉手帳」を指す場合もありますから、言葉の使い方には注意しなくてはなりません。

身体障害者手帳について

マーク

身体障害者手帳とは、身体障害者福祉法第15条の基づき、対象となる方の住所地の都道府県知事(政令指定都市・中核市の場合もある)が交付する手帳のことで、対象となる方が、身体障害者の方を対象とした各種制度を利用する際に必要な証明書の役割を果たすものです。

身体障害者手帳の交付対象者は、身体障害者福祉法別表に掲げる身体上の障害がある方で、その障害の状態が長期間継続すると認められる方です。

  • 視覚障害
  • 聴覚又は平衡機能の障害
  • 音声機能、言語機能、又はそしゃく機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓、腎臓又は呼吸器の機能の障害
  • 膀胱又は直腸の機能の障害
  • 小腸の機能の障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能障害
  • 肝臓の機能障害

上記の障害の各種類について、身体障害者福祉法施行規則別表第5号「身体障害者障害程度等級表」において、1等級から6等級(級が少ないほど障害の程度が重い)に該当する場合に、身体障害者手帳の交付対象者となります。

精神障害者健康福祉手帳について

精神障害者健康福祉手帳とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第45条によって規定されている、精神の障害を有する方に交付される手帳のことをいいます。

この手帳は、精神障害者の方が一定の障害の状態にあることを証する手段となり、また、精神障害者の方が各種の支援制度を活用して、自立と社会参加を図ることを目的としています。

精神障害者健康福祉手帳の交付対象となる方は、厚生省(現・厚生労働省)局長通達「精神障害者福祉手帳の障害等級の判定基準」により、以下の精神疾患を有するものです。

  • 統合失調症
  • 躁うつ病
  • 非定型精神病
  • てんかん
  • 中毒精神病(アルコール、有機溶剤、麻薬等)
  • 器質性精神病(精神遅滞を除く)
  • その他精神疾患(発達障害を含み、精神遅滞を伴うものを除く)

なお、精神障害者健康福祉手帳の交付を受けるためには、「精神障害者及び精神障害者福祉に関する法律施行令」に定める1等級〜3等級(等級が少ない方が重症)の障害の状態に該当する必要があります。

精神障害者健康福祉手帳の問題点について

身体障害者手帳や療育手帳の表紙には、それぞれ「身体障害者手帳」及び「療育手帳」の文字が印字されています。しかし、精神障害者健康福祉手帳には、「障害者手帳」の文字が印字されています。

それは、精神障害者に対する偏見が、身体障害者や知的障害者に対するそれよりも強く、精神障害者健康福祉手帳の文字をそのまま手帳に印字すると、障害者向けのサービスを受けるために、手帳を提示した精神障害者の方が、不適切な対応を受けることが多いので、手帳の表紙に、手帳を使う方が精神障害者の方であることが分からないように、単に「障害者手帳」と印字されています。

3種類ある障害者手帳のうち、精神障害者健康福祉手帳には、精神障害者に対する根強い偏見という、複雑な事情が関わってきます。

療育手帳について

療育手帳とは、知的障害者の方に交付される手帳で、知的障害者の方が、各種の援助措置や相談・指導を受けやすくすることを目的としています。

身体障害者手帳は身体障害者福祉法、精神障害者健康福祉手帳は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律を、それぞれ根拠としていますが、療育手帳には根拠となる法律がないため、厚生省(現厚生労働省)の事務次官通知「療育手帳制度について」が療育手帳の根拠となっています。

療育手帳の根拠が、法律ではなく事務次官通知となっているため、療育手帳の発行基準や発行方法は全国一律ではなく、発行者である地方公共団体ごとに異なってくるので、注意が必要です。

療育手帳の発行団体は、原則として、知的障害者の方が居住する都道府県となります。ただし、知的障害者の方が政令指定都市に居住している場合には、政令指定都市が、療育手帳を発行します。

療育手帳の交付対象者は、18歳未満の場合には児童相談所、18歳以上の場合には知的障害者更正相談所が、認定を行い、一定の知的障害があると認められた方になります。なお、知的障害の状態の判定にあたっては、知能測定値、基本的生活習慣、問題行動等を総合的に勘案します。

療育手帳は、都道府県や政令指定都市の独自の発行であるため、発行する自治体が手帳に独自の名称を付しているケースもあります。例えば、青森県では、療育手帳のことを「愛護手帳」、東京都では「愛の手帳」、さいたま市では「みどりの手帳」といいます。

また、療育手帳によって受けられる障害者向けサービスは、障害の程度によって異なるのですが、その判定基準も、手帳を発行する自治体によって異なります。例えば、青森県の場合には、判定基準が、重度の「A」と重度以外「B」に分けられます。東京都の場合には、障害の程度によって1度から4度に区分されます。