病症性を含む器質性精神障害による障害年金の概要や認定のポイントについて
病症性を含む器質性精神障害とはどのような病気か
病症性を含む器質性精神障害とは以下の各項に該当する状態をいいます。
- 先天異常による器質障害を原因とする精神障害
- 頭部外傷による器質障害を原因とする精神障害
- 変性疾患による器質障害を原因とする精神障害
- 新生物による器質障害を原因とする精神障害
- 中枢神経等の器質障害を原因とする精神障害
- 高次脳機能障害を原因とする精神障害
- アルコールや薬物等による精神及び行動の障害
- 膠原病や内分泌疾患を含む中枢神経障害等を原因とする精神障害
例えば、交通事故で頭部に重傷を負ったとします。脳の一部が傷ついて回復しないことにより精神に障害が残った場合や、脳腫瘍などで脳の一部が圧迫された結果精神に障害が出現した場合には、この器質性精神障害に該当します。
精神疾患には、神経症に代表されるように、性格や環境からのストレスなど心理的原因によって生じる心因性、統合失調症や躁うつ病のように脳内の伝達物質の不均衡による内因性、脳への直接的侵襲に起因する外因性の3区分があります。
病症性を含む器質性精神障害はこのうちの外因性の区分に該当します。
病症性を含む器質性精神障害の障害認定のポイント
病状性を含む器質性精神障害の障害認定において、同時に神経障害と精神障害の2つが症状が出ている場合には、その2つを区分せずに、諸症状を総合的に判断し認定するとされています。
神経症は、原則として障害認定の対象にはなりませんが、神経症と器質性の精神障害の双方の症状が出ている場合には、2つを総合して判断して障害年金の受給が決まる場合があります。
血管障害や新生物などにより脳の局限した一部が破壊されたことによって生起する脳の障害(巣症状といいます。)については、病症性を含む器質性精神障害として取り扱うのではなく、神経系統の障害として取り扱います。
アルコールや麻薬などの薬物を原因とする精神障害については、急性中毒や急な断酒や断薬による不定的な身体症状は対象となりません。それらを原因とする精神的障害を発症していない限り、障害年金の対象にはなりません。
また、アルコールや薬物を原因とする器質性精神障害の場合、発症の原因や発症及び療養の経過を十分に留意して認定すべしとされています。従って、診断書の発症から療養までの経過に関する記載や病歴・就労状況等申立書の内容が審査に重要な影響を与えます。
高次脳機能障害による器質性精神障害での障害年金の認定にあたっては、当該障害は代償機能やリハビリによって改善するケースもしばしばみられることから、病状や療養の経過を十分考慮すべきとされています。
従って、ここでも、診断書の発症から療養までの経過に関する記載や病歴・就労状況等申立書の内容が重要となります。この部分の記載については細心の注意を払う必要があります。