精神障害が2つ以上ある場合の障害認定について
●併合認定、差引認定、総合認定について
精神障害が2つ以上ある場合の障害認定の取扱いについて解説する前に、一般的なケースで、障害年金の対象となる障害が2つ以上ある場合の取扱いについて説明します。
障害年金の審査基準を表示した障害認定基準によると、障害年金の対象となる障害が2つ以上ある場合には、以下の3つの対応を取ります。
- 併合認定
- 差引認定
- 総合認定
併合認定とは、2つ以上のそれぞれの障害について障害年金の等級決定を行い、その決定した2つ以上の等級を併合判定参考表と併合判定表に当てはめて、最終的な障害等級を判断するというものです。
例えば、両眼の視力の和が0.05以上0.08以下は、厚生労働省で定める併合判定参考表では2号-1(2級)で、一上肢のすべての指を基部から欠き、有効長が0のものは同じく4号-1(2級)に該当します。
この2つの障害をお持ちの方が障害年金を請求した場合、2号-1と4号-1は、併合判定表では1級に該当しますから、1級の障害年金が支給されます。
差引認定とは、前発の障害と後発の障害を合わせた障害で等級審査を行った結果から、前発の障害の等級審査の結果を、厚生労働省が定める併合判定参考表や活動能力減退率表、差引結果認定表に基づいて差引いた結果で、障害認定を行うというものです。
先発の障害の初診日が国民年金加入中や20歳前の期間にあり、その先発の障害と同じ部位に後発の障害の発生し、その初診日が厚生年金期間中にあるような場合に、この差引き認定が行われます。
総合認定では、障害年金の対象となる障害が2つ以上の存在する場合に、そのそれぞれについて障害等級の審査を行い、その結果で、より上位の等級に該当すると判定したり(併合認定)、より下位の等級に該当すると判定する(差引き認定)ようなことはしません。
総合認定では、障害年金の対象となる障害が2つ以上存在した場合には、その2つ以上の障害は、その内最も中心となる1つの障害にまとめて審査の対象になります。
●精神の障害が2つ以上ある場合には総合認定が行われる●
精神の障害に関しては、障害年金の対象となる障害が2つ以上なる場合には総合認定が行われることになっています。
例えば、発達障害とうつ病を併発している場合には、発達障害がメインの障害であれば発達障害の障害年金の申請として、うつ病がメインの障害であればうつ病による障害年金の申請として取り扱われます。
メインのでない障害の方は、メインの障害の認定の際に参考事項として取り扱われることになります。
なお、「てんかん」及び「発達障害」単独の障害年金の申請は、審査が通りにくいといわれています。
従って、例えば、「てんかん」又は「発達障害」と「うつ病」を併発している場合には、「うつ病」で障害年金の申請をし、「てんかん」や「発達障害」は参考(補足)事項とした方が、認定が下りやすいと言われています。
こういったことが言われるのは、精神の障害が2つ以上ある場合には、認定が総合認定になっているからです。