発達障害の概要、それによる障害年金の認定ポイント
●発達障害とはどのようなものか
発達障害とは、生まれつきの脳の障害によって、社会行動やコミニケーション能力の障害によって、対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないため、日常生活に著しい支障をきたす状態のことを言います。
知能指数が高い方であっても発達障害に該当することがあり、そのような場合には、就職してはじめて発達障害であることに気が付くケースが多くあります。
発達障害に該当する疾病には以下のようなものがあります。
- 自閉症
- アスペルガー症候群
- 注意欠如
- 多動性障害
- 学習障害
- 吃音症
- チック障害
発達障害は通常は低年齢で発現しますが、知的障害を伴わない発達障害の場合には、20歳を過ぎてから初めて発達障害と診断されることがあります。
低年齢で発達障害と診断された場合には、20歳の誕生日の前日が障害認定日となりますが、20歳を過ぎてから発達障害と診断された場合には、その診断された日から原則1年6カ月経過日が障害認定日となります。
●知的障害による障害の障害認定のポイント●
厚生労働省が定める発達障害の障害認定要領によると、発達障害の障害認定は、社会性やコミニケーション能力の欠如の度合い、問題行動の程度、日常生活への適応の度合いなどによって判断されます。
その結果、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするものであれば1級、日常生活への適応にあたって援助が必要であれば2級、労働が著しい制限を受ければ3級に該当します。
従って、請求書に添える診断書や病歴・就労状況等申立書の作成にあたっては、社会性やコミニケーション能力の欠如の度合い、問題行動の程度、日常生活への適応の程度などを、詳細かつ正確に記載する必要があります。
発達障害の方で就労しているケースについては、就労していることをもって直ちに日常生活への適応能力が十分あるとみるのではなく、従事する仕事の種類やその内容、職場で受けている支援内容、他の従業員との意思相通等を考慮して総合的に判断すべきとされます。
就労している場合でも、労働に著しい制限を受けている、あるいは、日常生活への適応にあたって援助が必要と認められれば、障害年金が受給できる場合があります。
●「発達障害」単体での障害年金は審査が通りにくい?●
精神の障害による障害認定の認定要領には「発達障害」という項目が設けられていますので、「発達障害」で障害年金が受給できることは間違いはありません。
しかし、うつ病、躁うつ病、統合失調症などのように古くからある病気とは異なり、発達障害は比較的最近になってから精神の病気と認定されるようになっています。
そのせいかもしれませんが、「発達障害」を単独の原因として精神の障害による障害年金の申請をした場合には、審査が通りにくくなっているようです。
従って、例えば「うつ病」などと発達障害に併発している場合には、主な障害を「うつ病」による障害とし、発達障害はそれに追加する補足の障害として、障害年金を請求したほうが審査が通りやすくなるでしょう。