初診日と思われる受診日が複数ある場合
相談者
- 男性(30代)
- 傷病名:大動脈弁不全症
- 年金種類と等級:障害厚生年金3級
病歴
- 高校生の頃、胸痛を感じたことがあったが心因性のものと考えていた。
- 大学生の頃、アルバイト中に持病の腰痛が悪化し受診。腰痛に加え、胸痛を感じることもあった。
- 就職後、胸痛と失神の症状で救急搬送。心電図などの検査では原因不明。処方は行われず、異常時受診を指示された。
- 総合病院を受診。精査の結果「大動脈弁不全症」と診断された。
- 心臓専門病院にて弁置換術
相談時の状況
ご本人にご来所いただき「初診日と考えられる受診日が複数あるため、専門家の意見を聞きたい」との相談をお受けいたしました。
- 大動脈弁置換術(機械弁)の手術後、服薬治療を続けているが症状が安定せず、就労が困難とのこと。
- 障害年金制度についてはご存じで、年金事務所・ソーシャルワーカーに相談し、ご自身で申請を準備中。
サポート内容
① 初診日の特定
- ご本人は腰痛と同時に胸痛を感じることがあったため、腰痛による受診を「初診日」と考えておられました。
- 障害年金の初診日の認定には「相当因果関係」という判断基準があります。
相当因果関係とは「前の病気または怪我がなかったら後の病気は起こらなかっただろう」という考え方のことです。 - 弊所では通院の状況だけでなく、日常生活や就労の状況などを詳しくお聞きし、診断書の記載事項を確認した上で「腰痛と胸痛での受診と大動脈弁不全症とは相当因果関係なし」と判断し、胸痛と失神での救急搬送された日を「初診日」と特定いたしました。
→弁疾患に関する認定基準は「人工弁を装着したもの」を3級としています。相談者の方は3級基準を満たしておりましたので、初診日を特定した時点で「障害厚生年金」を請求いたしました。
② 認定日請求
- 「障害認定日」とは「初診日から1年6カ月を経過した日(その間に治った場合は治った日)」のことです。
→「人工弁を装着した日」を「障害認定日」とし、初診日から1年6カ月経過した日より前に請求いたしました。
結果
- 障害厚生年金3級(年間約58万円)認定
- 遡及分(約3年5カ月、200万円)支給