本人が亡くなった後でも障害年金の請求ができるか

療養されていた方がお亡くなりになった場合、「もう障害年金は請求できない」のでしょうか。
一定の条件を満たせば、障害年金の請求が可能な場合があります。今回は、死亡後において、どのような場合に障害年金の請求が可能であるのか、についてご説明します。

死亡後に障害年金請求ができる条件とは?

通常の障害年金請求時と同様に、障害年金請求の3要件を満たしていることが、大前提となります。

障害年金請求の3要件

  1. 請求傷病の初診日において、国民年金もしくは厚生年金の被保険者であること
  2. 初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
    ※初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければOK。
  3. 障害認定日(原則、初診日から1年6カ月を経過した日)において、障害認定基準に定める障害状態にあること。

死亡後の障害年金請求にあたっては、以上の3つの要件を満たしている上で、「障害認定日請求」に限り、請求できるというのが、死亡後の障害年金請求の特色です。

「障害認定日請求」で障害認定されれば、障害認定日に年金受給権が発生し、死亡された月分までが、未支給年金として、一定の遺族に支給されることになります。

「障害認定日請求」というのは、原則初診日から1年6カ月を経過した時点で障害状態にあるので障害年金を支給して下さい、と請求する手続きのことです。具体的には、障害認定日(原則初診日から1年6カ月経過した日)から3か月以内の症状を表す診断書を医師に作成してもらい、その記載内容により障害認定を受けるというものです。

死亡後の障害年金請求ができない場合

障害年金請求時点で生存中であれば、「障害認定日請求」のほかに、「事後重症請求」といって、今現在の症状を表わす診断書を提出することで、この先の年金を求めることが可能ですが、死亡されている方については、この「事後重症請求」ができません。「障害認定日請求」に限って請求可能であることから、以下のような場合には、死亡後の障害年金請求ができない、と考えられます。

  • 障害認定日時点では、障害等級に該当するほどの症状ではなかった方(たとえ亡くなる直前は障害等級に該当するご症状だったとしても、障害認定日時点の症状での審査しか受けることができません)
  • 障害認定日時点での診断書を作成してもらうことができない方(例:当時の医療機関が廃院している、当時のカルテが破棄されている、当時は受診していなかった等)

また、遡及支給される5年前からの年金(いわゆる、さかのぼり分の年金)は、障害年金請求書を提出した日の5年前から死亡した月分、となるため、請求するのが遅れれれば遅れただけ、受給できる年金額が減っていくことになります。したがって、亡くなった後の障害年金請求を進められる場合で、障害認定日から5年を経過しそう、もしくは5年経過してしまっている場合には特に、1日も早く手続きを進めることをお勧めします。

未支給年金の請求ができる人

亡くなった方の障害年金請求ができる人の範囲は、国民年金保険法19条および厚生年金保険法37条に規定されています。請求できる人には順位があります。未支給年金は自己の名で請求することができます。自己の名で、とは、亡くなった方の代理で請求するということではなく、自身の権利として年金請求ができる、ということです。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. その他、1~6以外の3親等以内の親族

以上、死亡後における障害年金請求について解説いたしました。一定の条件の下ではありますが、死亡後でも障害年金の請求ができる場合があります。年金請求手続きに際しご不安な場合には、お早めに弊所までご相談ください。