知的障害を伴わない自閉症スペクトラム障害により障害年金2級を受給できたケース

請求者

  • 男性(20歳前)
  • 傷病名:自閉症スペクトラム
  • 年金種類と等級:障害基礎年金2級(20歳前障害)

病歴

  • 低酸素状態で出生し、NICUで管理入院。
  • 言葉の遅れをかかりつけ医に相談。自閉症の可能性を診断され、言語療法を受けた。
  • 就学時に心理検査を受け、発達障害が判明した。
  • 自分で決めたルールへのこだわりの強さ、感覚過敏を家族がサポートしている。
  • 現在は学校の長期休暇時に受診し、面談や検査を受けている。
  • 精神保健福祉手帳3級 交付。

ご相談時の状況

  • 請求者のお父様にご来所いただき「主治医に20歳前の子供の障害年金請求を勧められた。手続きの流れを知りたい」との相談をお受けしました。

サポート内容

20歳前サポート内容障害の請求手続き

  • 請求者のお父様にご来所いただき「主治医に20歳前の子供の障害年金請求を勧められた。手続きの流れを知りたい」との相談をお受けしました。
  • 障害認定日は、20歳に達した日(誕生日の前日)。
    ただし、初診日から1年6か月後が20歳に達した日より後にある場合を除く。
  • 保険料納付要件は問われません。
  • 本人の所得額によっては、受給権が発生しても支給停止となる場合があります。

初診日証明

  • 障害認定基準に下記記述がございます。
    発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする。
    ※知的障害の初診日は出生日です。(厚生労働省 障害基礎年金お手続きガイド初診日の主な具体例より)
  • 上記から、言葉の遅れをかかりつけ医に相談した日を初診日と特定しました。
  • カルテ保存期間は終診後5年程度の病院が多く、初診日証明の取得が困難なケースが多くあります。
    ※弊所の障害年金ブログ「20歳前傷病の初診日証明」をご一読いただければと思います。
  • 請求者様は、現在も風邪などの症状で初診病院をかかりつけ医として受診されていたため、カルテが保存されていました。

障害認定日請求

  • 請求者様の障害認定日は20歳に達した日(誕生日の前日)です。
  • 20歳前障害の障害基礎年金について、20歳に達した日を障害認定日として認定日請求する場合、20歳到達時(誕生日の前日)前後3ヵ月以内の症状が記載された診断書を提出します。
  • 請求者様のように必要に応じて受診をされており、受診日の間隔が長い場合には認定日の症状を診断書で証明できず、申請が困難になるケースがあります。

診断書作成依頼

  • 自閉症スペクトラム障害(発達障害)は、認定基準より「社会性やコミュニケーション能力」「日常生活能力」の観点から審査されます。
  • 請求者様は診察時の聴き取りの際に、ご自身の話したくないことは話さない状況と伺っておりました。そのため医師へ診断書作成を依頼する際は、お父様からヒアリングした情報を基にした、通院歴や日常生活についての参考資料を「受診状況等証明書」(初診日証明)と併せて主治医の先生へ提出しました。

結果

  • 障害基礎年金2級(年間約78万円) 認定

請求を終えて

  • 発達障害は先天性の疾患ですが、必ずしも出生日が初診日ではないため、初診日を特定する必要があります。
  • 今回のケースでは、ご両親が請求者様の障害についてよく調べたうえで幼少期に発達障害に詳しい医師の診断を受けていたことから、スムーズに手続きができました。
  • 平成28年9月から「精神の障害にかかる等級判定ガイドライン」が施行されています。ガイドラインには障害等級の目安が示され、総合評価の際に考慮される要素の例が挙げられていますので、実際の状況と照らし合わせて検討が可能かと思います。
  • 請求手続きでお困りの際は、専門家にご相談ください。