てんかんによる障害年金の概要や認定のポイントについて
●てんかんとはどういう病気か●
てんかんは、てんかん発作と呼ばれる発作(全身又はその一部の痙攣)を伴う脳の病気です。
脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮が起こり、それによって発作が起きることが原因とされています。
てんかんはかつては子供の病気とされていましたが、最近の研究では、老若男女を問わず発症する病気であることが分かってきています。
古くからその存在が知られる病気で、哲学者のソクラテスやローマ皇帝のカエサルもこの病気に悩まされていたとされています。
現在の有病者数は全世界で約5,000万人といわれていますが、そのほとんどが発展途上国の国民で占められています。
厚生労働省が定める障害認定基準(精神の障害)における認定要領は4項目に分類されていますが、そのうちの1つに「てんかん」による精神障害の認定領があり、てんかんによる障害が障害年金の対象になることは明白です。
●「てんかん」による障害認定のポイントについて●
「てんかん」による障害認定のポイントとしては、まず、最近では、優れた抗てんかん薬の出現や外科的治療の大きな進歩が認められますが、治療によって発作が抑制される場合には、障害年金の対象にはなりません。
十分な治療に関わらず、どうしても障害が残ってしまう「てんかん」のみが障害年金の対象になります。
認定基準は、
- 1級が以下で述べるてんかん発作のA又はBが月1回以上
- 2級がてんかん発作のA又はBが年2回以上若しくはC又はDが月1回以上
- 3級がA又はBが年2回未満若しくはC又はDが月1回未満
従って、診断書や病歴・就労状況等申立書には、いつどこでどのようなてんかん発作が起こったのかを、正確に記載する必要があります。常日頃から病状の記録を残しておく必要があります。
- A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為をする発作
- B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作
- C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
- D:意識障害はないが、随時運動が失われる発作
なお、診断書に記入するてんかん発生の回数は、過去1年間の状況あるいは今後1年間に予想される回数を記入すべきとされています。
●「てんかん」単独の障害年金の請求は難しい●
国際診断基準ICD10では、てんかんは「G40:挿間性及び発作性障害」、うつ病などは「F:精神及び行動の障害」と分類されていますが、障害年金制度上では2つとも「精神の障害」とされます。
てんかんの認定要領として十分な治療や発作の重症度や頻度に加え、発作間欠期の精神神経症状や認知障害の結果による社会的活動能力の損減があります。 てんかん発作の基準を満たしていても発作間欠期の精神症状がない方については、障害状態と認定されないケースが多くなる傾向があります。
発作間欠期(発作をおこしていない時)の精神神経症状や認知障害についても留意したうえで、主治医に診断書の作成を依頼することが重要かと存じます。