障害年金Q&A

初診日から何年たった後でも障害年金は請求できる

障害年金には事後重症請求と言って、初診日から長い期間が経過した後に病状が悪化し、障害の状態になった時に障害年金を請求できる制度があります。また、年金を受ける権利の消滅時効は5年ですので、必要な書類をそろえることができれば、過去5年分の障害年金を請求することができます。

障害年金を受けることができる程度の障害の状態にあり、保険料納付要件をクリアしていて、初診日がカルテなどできちんと証明できれば、初診日から長い間経過した後に請求手続きを行っても、障害年金を受給することができるのです。

事後重症の障害年金の請求について

事後重症請求は、初診日から原則1年6カ月を経過した障害認定日には、障害の状態が障害年金を受給できる等級ではなかったが、その後に状態が悪化して障害年金が受給できる等級に該当するようになったという場合に、障害年金を請求できるというものです。

例えば、糖尿病は10年以上の時間をかけてゆっくり進行すると言われています。厚生年金被保険者期間中に糖尿病で初めて医師の診療を受け、その診療日(初診日)から1年6カ月を経過した障害認定日には症状が軽かったが、10年後に糖尿病性腎症を発症し腎疾患の障害で障害等級の3級に該当した場合を想定します。

糖尿病腎症の初診日はその原因となる糖尿病で初めて医師の診療を受けた日ですから、10年前が初診日になります。初診日から1年6カ月を経過した障害の認定日においては障害が軽かったため、障害年金は受給できません。しかし、事後重症請求として、10年前の日を初診日とし、現在の障害の状態で障害年金が受給できます。事後重症による障害年金は請求した月の翌月分からの支給になります。

障害年金の遡及請求について

かなり前から障害年金が受給できる程度の障害の状態であったものの、障害年金制度について知らず、障害年金を受給できることに気が付いたのが初診日から何年も経過したつい最近だ、ということはよくあります。このような場合でも、年金の消滅時効は5年であるため、請求すれば過去5年分の障害年金を受給できるケースがあります。

可能性のある方は一度専門家に相談してみるとよいでしょう。初診日から何年も経過して障害年金を請求する場合には、診断書が2枚必要になります。1枚は初診日から1年6カ月を経過した障害認定日以降3月以内の現症を記載したもの、もう1枚は年金請求日以前3か月以内の現症を記載したものが必要です。

初診日や障害認定日から何年も経過すると、カルテが廃棄されていたり、その時にかかっていた病院が廃業していたりするので、診断書の作成が困難なケースがあります。しかし、診断書等の書類が揃えられた場合には過去5年に遡って障害年金が支給されますので、最初から諦めずに可能性を探っていただきたいと思います。