がん患者の皆様へ

がん(悪性新生物)が原因の障害でも障害年金の受給は可能

障害年金は、医者が病気と認めるものが原因であれば、どんな病気が原因の障害でも受給できる可能性があります。

障害年金の基準には、検査数値等が一定基準以上となった場合には〇級とすると異様な客観的な基準もあります。

一方で、労働が制限を受ける(3級)、日常生活に著しい制限を受ける(2級)、日常生活の用を弁ずることが不能(1級)というように抽象的な基準もあります。

客観的な基準が定められている障害の方が、抽象的な基準しか定められていない障害よりも、障害年金の申請が行いやすいことは間違いがありません。

がん(悪性新生物)が原因の障害で障害年金を請求する場合には、基本的には抽象的な基準の方にに基づいて審査が行われますので、申請が難しいことは間違いがありません。

しかし、がん(悪性新生物)を原因とする障害に関する障害年金の申請ができないということはありませんし、抽象的であっても基準を満たしていれば障害年金が受給できます。

がんによる障害で障害年金が受給しやすいケースについて

がんの治療法として手術がよく利用されていますが、がんに侵された部分の摘出手術を受けた場合には、摘出部位によっては障害年金の申請が比較的容易になります。

例えば、直腸がんや膀胱がんの摘出手術に伴い、人工肛門や新膀胱、尿路変更術を施術した場合には障害年金の3級に該当します。

喉頭がんなどによって喉頭全摘出を行った場合、発音に関わる機能を喪失したものについては障害年金の2級に該当します。

また、肺がん等の治療のために在宅酸素療法を行った場合には、在宅酸素療法が常時(24時間)行われ、かつ軽易な労働以外の労働に常に支障がある場合には3級に該当します。

がんにり患して手術や治療を行い上記の障害の状態に該当した結果障害年金を請求する場合には、基準が比較的明確なので障害年金の審査が通りやすいと言えます。

がん(悪性新生物)による障害の認定基準について

厚生労働省で出している通達の中には、悪性新生物(がん)による障害の認定基準があります。参考までに以下に表示します。

第1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同等以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

第2級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同等以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

第3級 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

第1級及び第2級の基準の中には「前各号」とありますが、これは他の障害の認定基準の第1号及び第2号と同じ程度の障害の状態という意味です。

がん(悪性新生物)により又は抗がん剤の副作用により、倦怠感(だるさ)や、末梢神経障害(しびれや痛み)、貧血、下痢、嘔吐、体重減少等の内部障害がよく起こります。

こういった内部障害が上記の悪性新生物による障害の認定基準に該当した場合には、障害年金が受給できます。

がんによって人工肛門や新膀胱造設、咽頭全摘出などの障害が起こった場合と比較して、がんにより発生した内部障害で障害年金を受けることは難しいです。

しかし、そういった内部障害では全く障害年金が受給できないというわけではありませんので、専門家に相談するなどの努力をすることで受給が可能になることもあります。