交通事故による高次脳機能障害で障害年金請求を家族で進めていたが、途中であきらめていた事例

ご相談者

  • 男性(40代)
  • 障害の種類:高次脳機能障害
  • 年金種類と等級:障害厚生年金2級

相談時の状況

  • 請求者のご家族から、「交通事故の後遺障害で障害年金請求を行いたいが、手続きが難しいためサポートしてもらえないか」との相談をお受けしました。
  • 交通事故から約3年後、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けたが、その頃に障害年金制度の存在を知り、家族で請求準備を進めたが書類作成が困難なため中断したとのことでした。
  • 精神障害者保健福祉手帳2級

交通事故後遺障害で障害年金を請求する場合のポイント

1 初診日

交通事故の後、初めて医療機関を受診した日です。(救急搬送された日など)

2 診断書

交通事故の後遺障害は、多岐にわたるケースがあります。 複数の障害が認められる場合、どの障害について請求するのか(複数の障害で申請するケースもあります)検討が必要です。 請求方法により必要な診断書が異なります。

3 第三者行為事故状況届

所定の書式に事故の詳細を記入します。事故証明、損害賠償金にかかる書類の提出を求められます。

4 交通事故の損害賠償金との支給調整

事故の相手方から損害賠償を受ける場合、障害年金支給が停止される期間があります。 支給停止の期間は、事故日から最長36ヵ月(3年)とされています。 支給停止される金額は、損害賠償金のうち生活保障費に相当する金額のみが対象となります。 慰謝料、医療費などは対象外です。支給停止期間が過ぎた後は、障害年金が全額支給されます。

請求サポート

1 障害状態の確認

  • 頭部外傷の後遺症として高次脳機能障害と診断されている
  • 身体の機能に障害が残っていない

→精神の障害用 診断書で審査を求める方針をご説明しました。

2 請求手続き

  • ご家族様で準備された書類を拝見しました。

㋐診断書:障害認定日請求用の診断書
障害認定日頃の症状で作成された診断書は、未記入部分等の不備がなく、障害認定日以降3ヶ月以内の症状で作成されていることを確認しました。
→取得済みの診断書を提出して、障害認定日請求(遡及請求)をご提案しました。

㋑ご家族で手続きされていた当時の診断書
遡及請求を行う場合、請求日以前3ヶ月以内の症状で作成された診断書も併せて必要になります。
→取得済みの診断書は「請求日以前3ヶ月以内」の要件を満たしていなかったため、現在通院中の病院で、主治医に診断書作成を依頼しました。

  • 請求に必要な以下の書類の取得、書類作成をサポートしました。

㋒受診状況等証明書
診断書に、救急搬送された病院に関する記述がありました。
→事故日から年数が経過していましたので、カルテ保存がない場合の対応も検討しましたが、救急搬送された病院で「受診状況等証明書」を作成いただけました。

㋓三者行為事故状況届
保険会社が自動車保険の状況(相手車両、自車両)を記した「第三者行為事故状況届」をお持ちでした。事故証明書の写しも添付されていました。
→未記入部分について必要な情報をお聞取りし、弊所にて作成しました。

㋔病歴・就労状況等申立書
転院、治療内容の変更、障害により就労や日常生活に制限がある状況など、記入する内容が多くあります。
弊所では、障害により支障が生じている状況が伝わりやすいように、診断書記載内容に沿って具体的なエピソードを交えて作成しました。

結果

障害厚生年金2級 認定
遡及5年分 支給

請求を終えて

  • 障害年金請求では、複数の書類を準備する必要があります。請求者ご本人やご家族で手続きを進めても「どう書けばよいか」「書くのが面倒」等、さまざまな理由で手続きを中断してしまう事も多いと思います。
  • 請求者様のケースでは遡及請求が認められました。ただし年金を受け取る権利は5年の時効がありますので、時効により権利が消滅した数年分の年金については受け取ることができませんでした。
  • 手続き方法についてお困りの際は、社会保険労務士への相談もご検討ください。