人工透析療法施行により障害厚生年金2級が決定した事例
ご相談者
- 男性(50代)
- 傷病名:慢性腎不全
- 年金種類と等級:障害厚生年金2級
相談時の状況
「糖尿病が悪化し、2年前から人工透析を受けている。障害年金請求手続きを依頼したい。」とのご相談をお受けしました。
相談から請求までのサポート
① 初診日の特定
相談時に受診の経緯をお話しいただきました。
- 40代の頃、健康診断で糖代謝異常を指摘されたが受診していなかった。
- 別傷病で内科を受診した際に行われた血液検査結果により「Ⅱ型糖尿病」と診断された。
- 糖尿病の治療を続けたが、症状が悪化。腎機能が低下し「慢性腎不全」と診断された。
障害認定基準に「初診日」とは、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいう、と記載されています。
→原則として、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととされています。
請求傷病「慢性腎不全」は糖尿病性腎症(糖尿病の合併症)と診断されています。障害の原因となった傷病「Ⅱ型糖尿病」と診断された日を障害年金請求の初診日と特定しました。
② 障害認定日請求
初診日から1年6か月後の障害認定日の認定日頃は、合併症の腎疾患と診断されていませんでしたが、糖尿病の治療で定期的に受診していたとのことでした。糖尿病(代謝疾患による障害)での請求を検討しました。
→当時の通院先である内科に問い合わせたところ、カルテは保存されているが、認定要領に示されている血清Cペプチド値の検査結果の記載がない(未計測)とのことでした。
障害状態に該当していることを確認することができないため、障害認定日請求を行いませんでした。
③ 事後重症請求
腎疾患による障害の認定要領に「人工透析療法施行中のものは2級と認定する。」と記載されています。
診断書に記載された検査結果、合併症の有無や程度、日常生活状況(一般状態区分表)を確認し、上位等級に該当する可能性を検討しました
結果
障害厚生年金2級(年間約166万円)認定
請求を終えて
今回は「糖尿病」が関連する「慢性腎不全」について、腎疾患による障害認定を求める請求でした。
初診日は、健康診断で糖代謝異常が指摘された日(健診日)ではなく、障害の原因となった傷病についての受診日(内科受診日)で決定しました。
障害認定日頃は「糖尿病」と診断されており、定期的に通院して治療を継続していらっしゃいました。カルテが残っていても当時の検査内容で請求日現在の障害認定基準を満たしていることを確認できない場合には、障害状態が認められることが困難です。
事後重症請求で障害状態と認められた場合、請求した月の翌月分から年金が支給されます。年金請求が遅くなると、遅くなった月数分の年金を受け取ることができません。少しでも早く年金請求出が出来るよう、提出書類を揃えることが重要です。
専門的な判断、迅速な手続きが求められるケースについては、障害年金を専門とする社会保険労務士にご相談ください。