後縦靭帯骨化症で障害基礎年金2級を受給できた事例

ご相談者

  • 男性(50代)
  • 傷病名:後縦靭帯骨化症
  • 年金種類と等級:障害基礎年金2級

後縦靭帯骨化症とは

背骨の中の空間(脊柱管)の中には、脳から体へ、体の各所から脳へ情報を伝える役割を担う運動神経や知覚神経が通っています。

背骨の中に縦に走っている後縦靭帯が骨のように固くなり、徐々に脊髄を圧迫することで、神経の通っている脊柱管が狭くなり、神経を圧迫、手足がしびれて日常生活に障害をきたすようになる病気です。

相談時の状況

弊所の無料相談をご利用になりご来所、これまでの経緯をお伺いしました。

なお、相談者様は厚生年金ご加入歴なく、20歳以後現在まで国民年金にご加入、保険料はすべて納付期限内に納付されていました。

  • 約7年前に片方の足の先端がしびれ始め、しばらく様子を見ていたが治らなかった。
  • 自宅近くの整形外科を受診したところ、腰椎ヘルニアではないかといわれ、ビタミン剤を処方されたが、服用しても治らなかった。しびれが継続したが、仕事の忙しさから5年近く放置してしまった。
  • 約1年前からは両手にもしびれを感じるようになり、かねてより持病で定期的に診てもらっている内科の主治医に相談したところ、脳神経外科に行くよう紹介状を渡された。
  • 脳神経外科でCTやMRI検査を行い精査したところ異常所見ありとのこと、すぐに大きい病院で診てもらうよう、さらに紹介状が作成された。
  • 大きい病院で精査したところ、後縦靭帯骨化症と診断された。この頃には四肢にしびれが広がり、物を握ることも不自由な状態となっていた。昨年からは身体中にしびれが広がり、筋力も低下、仕事もできなくなってしまった。

こんな状態でも障害年金を請求して受給できる可能性があるのか、とのご相談でした。

相談から請求までのサポート

① 診断書の作成と事後重症請求

相談者様の現在の症状をお聞かせいただきましたが、障害箇所が四肢にわたること、日常生活に大きな影響が出ていること、左手握力が半減していることなどから、障害等級2級に認定される可能性があると見通しを立てました。

相談者様の請求疾病である後縦靭帯骨化症の「初診日」は、7年前の近位整形外科受診時と方針を立て、障害基礎年金の事後重症請求を行いました。

現在の診断書を作成頂いた脳神経外科医のご見解では、当該傷病の発生日は約7年前である、とのことでしたので、その旨、診断書にも明確にご記載いただきました。

② 結果

障害年金請求書を窓口に提出してから約5カ月が経過し、結果がご自宅に届きました。しかしその内容は「不支給決定通知」でした。

 支給しない理由として、厚生労働大臣の通知には、次の内容が記載されておりました。

  • 当該傷病の初診日は、最初の近医受診である7年前(結果的には頸椎ヘルニアは誤診であると考えられます)ではなく、1年前にかかりつけの内科医師に相談した時が初診日である。
  • 1年前の受診時を初診日と認定するのだから、当該請求時現在、障害認定日(初診日から1年半後)が未到来であり、症状が固定していないのであるから、障害年金は支給できない。

③ 障害認定日の到来と再請求

当事務所障害年金チームで熟慮した結果、初診日がいつと認定されるのかという点について審査請求で争うよりも、厚生労働大臣の認定した初診日に従い障害認定日の到来を待ち、再度請求を行うことが賢明との結論に至りました。

その旨、相談者様にご提案、ご了解いただきました。

不支給決定通知を受け取られて半年ほどが経過し、障害認定日が到来したことを確認後、改めて主治医に診断書をご作成頂き、障害年金事後重症請求を行いました。

その3か月後、無事障害基礎年金2級の支給決定通知書が届きました。

結果

障害基礎年金2級認定

請求を終えて

受給決定後は、今までのご不安から一転し、ほっとされたご様子でした。

弊所にご相談いただいた日から初回年金が入金されるまで、1年半もの長い時間がかかってしまいましたが、結果的に年金受給が決定し、チーム一同心より安堵いたしました。

今回の請求では、いつの時点を初診日として障害年金請求を行うのかがポイントとなる事例でした。

7年前から足のしびれを自覚され、現在の主治医も傷病の発生は7年前と診断されている以上、7年前に整形外科を受診した時点を初診日として請求することには合理性があります。

そうすることで、より早く障害年金を受給開始できる可能性があります。

一方、その後に受診した病院を初診日として請求することを考える場合には、障害認定日未到来という問題が発生します。

そうする場合には、初診日から1年6カ月の経過を待たなければ、障害年金の請求を行うことができません。

最後に

弊所では様々な難病による障害年金請求実績がございますが、各々の請求事例によって、日本年金機構の審査によって、いずれの時点が初診日と認定されるのかについて、都度審査結果が異なることを実感しています。

したがって、確定診断の前に複数の医療機関を受診されている方、確定診断が出るまで比較的長い年月を経ている方の請求について見通しを立てる際には、チームで様々な考察を行い、考えられる数パターンの審査結果を見据え、請求を組み立てていきます。

また、審査結果が送付されてきた際、請求者が申し立てた初診日がそのまま認められればよいのですが、初診日が別日と認定された場合には、その結果に応じて、次にどのような手続きを行うのがよいのか、弊所の障害年金チームが一丸となって、請求者様のサポートをさせて頂きます。

様々なご病気で障害を抱え、悩まれている方が数多くいらっしゃると思います。障害年金の請求手続きにご不安がある方は、なるべくお早めに、弊所の障害年金専門社労士にご相談くださいませ。