知的障害・そううつ病により障害年金の申請をお考えの方が受給できた事例

ご相談者

女性(30歳)

障害の種類

  • 知的障害
  • そううつ病

状況

  • 軽度仮死状態で出生、その後、なかなか首がすわらないなどの発達の遅れはあるものの、健診では特に異常を指摘されたことは無かったそうです。
  • 小学校、中学校と普通学校に入られましたが、成績はほとんどの科目が最低評価で、学校を休まれることも多かったそうです。学校卒業後はアルバイトをされましたが、動作が鈍いことを指摘され、全て長続きしなかったそうです。
  • また、このような状況の中で、他人の言葉が理解できないことが多々あり、人間関係が上手く築けず、次第に落ち込むことが多くなったそうです。
  • 18歳頃、知人に勧められ、精神科を受診されましたが、ご本人は詳細を覚えておられず、受診年月日や病院名は不明。現在、メンタルクリニックに通院中で、知的障害(IQ61)、そううつ病と診断されているとのことでした。

ご相談の内容

Q. 18歳時の初診日、病院名、病院所在地が不明だが、障害年金の申請はできるか。

A. そううつ病については、原則どおり初めて受診した日が初診日となりますが、一方で知的障害については出生日が初診日として取り扱われます。

では、相談者様のように、知的障害と精神疾患が併発している場合はどうなるのかというと、年金機構「知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取扱い(情報提供)」(給付情2011-121、平成23年7月13日)での厚生労働省年金局事業管理課の回答に以下の記載があります。

知的障害や発達障害と他の精神疾患を併発しているケースについては、障害の特質性から初診日及び障害状態の認定契機について次のとおり整理するが、認定に当たっては、これらを目安に発病の経過や症状から総合的に判断する。
中略
(4)知的障害と診断された者に後からうつ病が発症した場合は、知的障害が起因して発症したという考え方が一般的であることから「同一疾病」とする。
知的障害と診断された者に後から神経症で精神病様態を併発した場合は「別疾病」とする。
ただし、「統合失調症(F2)」の病態を示している場合は、統合失調症が併発した場合として取扱い、「そううつ病(気分(感情)障害)(F3)」の病態を示している場合は、うつ病が併発した場合として取り扱う。

前発傷病 後発傷病 判定
知的障害 うつ病 同一疾患
知的障害 そううつ病 同一疾患

よって、相談者様のケースでは、知的障害とそううつ病が同一疾患となり、出生日が初診日として取り扱われ、18歳時に受診した精神科は初診ではないとされる可能性が高いです。
18歳時の受診病院については詳細不明で、受診状況等証明書(初診証明)を取得することが困難という状況ですので、積極的に知的障害の障害の程度を示されるべきでしょう。

ご相談をお受けして

18歳時の受診病院については最寄の地下鉄駅名しか分からず、途方に暮れておられましたが、出生日が初診日として取り扱われる可能性が高いと説明したところ、安心されたようでした。このように初診日でお困りの場合は専門家に一度相談されることをお勧めします。
(その後、当事務所に申請代行の依頼をいただき、無事受給となりました。)