糖尿病の初診日を母子手帳で確認できたケース

請求者

  • 女性(40代)
  • 傷病名:糖尿病性網膜症
  • 年金種類と等級:障害基礎年金2級

ご相談時の状況

  • ご請求者と付き添いのご家族様にご来所いただき「自分たちで手続きを始めたが、初診日証明が取れなかった。別の方法が無いか。」との相談をお受けしました。

サポート内容

1. 病歴の確認

  • 妊婦健診で尿蛋白、尿糖に異常所見を指摘された。(母子手帳に記載あり)
  • 血糖値管理の指示を受け、経過観察。その後、インスリン治療を開始。
  • 出産後、未受診のまま10年以上を経て、急激な視力低下を自覚。
  • 眼科受診し、糖尿病の合併症が疑われ、精査指示を受けた。
  • 2型糖尿病および合併症と診断を受けた。
  • 眼の症状については「糖尿病性網膜症」と診断され、手術施行。身体障害者手帳3級。

2. 初診日証明が取れない場合

  • お伺いした病歴から、初診日は妊婦健診で異常を指摘された後に始めて医師の診断を受けた日と特定し、手続きを進めました。
  • 平成27年10月1日施行「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」を基に初診日を証明する具体的な書類を例示し、説明しました。
    • 第三者証明 +その他の客観資料(健康保険のレセプト、発行日記載のある診察券など)

請求者様の場合、母子手帳の写しとインスリン処方の記録(お薬手帳)を客観的な資料として提出しました。

3. 請求方法の検討

糖尿病による障害の程度は、障害認定基準(代謝疾患による障害)に「合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態、 治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定する」とされています。

糖尿病の合併症には、眼の障害の他に神経の障害や腎臓の障害など様々な症状があります。そのため、糖尿病の治療内容について詳細をお尋ねしました。

請求者様は腎臓機能低下を指摘されており、塩分を控えた治療食に変更していらっしゃるとのことでした。

腎疾患についても診断書を取得し、総合的な認定により上位級に該当する可能性を検討しました。

4. 事後重症請求

  • 初診日から1年半後の障害認定日頃は、自覚症状がなく受診していらっしゃいませんでした。
  • 事後重症(現在の症状)での請求をいたしました。

結果

  • 障害基礎年金2級(年間約100万円,加給年金含む) 認定

請求を終えて

  • 今回は、初診日を明らかにする書類を提出できない場合の取扱いについての通達に基づき、初診日を特定したケースです。通達で示された手法に沿って、正確に使用する必要があります。
  • 糖尿病で障害年金を請求する場合、「国民年金・厚生年金 障害認定基準」の代謝疾患による障害の基準により審査されます。ただし、糖尿病の合併症がある場合には、それぞれの症状の認定基準により審査されます。
  • 請求者様のケースでは、糖尿病性網膜症(眼の障害)と糖尿病性腎症(腎疾患による障害)、2つの合併症について、それぞれの認定基準に照らして請求方法を検討しました。
  • 症状が進行する可能性がある場合には「額改定請求」についても考慮が必要と考えます。
  • 専門的な判断を要するケースでは、専門家にお尋ねいただければと思います。