精神疾患の初診日を内科受診日で証明した事例

請求者

  • 男性(40歳代)
  • 傷病名:双極性感情障害
  • 年金種類と等級:障害厚生年金2級

ご相談時の状況

請求者様にご来所いただき「うつ病と診断されていたが、途中から双極性感情障害と診断名が変更された。初診日、請求方法について知りたい。」との相談をお受けしました。

相談から請求までのサポート

① 初診日の確認


精神の障害の認定基準には下記の記述があります。(原文のまま)
「精神の障害は、多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様である。したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する。」

上記から、うつ病と双極性感情障害が同一原因の傷病か検討が必要でしたので、まずは病歴をお伺いいたしました。

病歴
  • 職場の人間関係のトラブルで体調不良を自覚。
  • 内科を受診し、服薬治療の指示を受けた。(診断名、処方薬不明)
  • 内科受診から程なく動悸や息苦しさの症状が現れたため退職。心療内科・精神科の診療科目がある病院を受診。うつ病と診断された。
  • 服薬治療を続け、症状が軽快。就労後に短期間でうつ症状を再発することが続いた。
  • 双極性感情障害と診断され、処方薬が変更された。
  • 精神障害者保健福祉手帳3級

お伺いした病歴から、発症時の症状が継続していること、発症から現在まで継続受診されている事実を根拠に同一原因の傷病(病名変更)と考えられました。
加えて、発症後うつ病と診断された病院を受診する直前に受診した内科についても、現在の障害の初診日となる可能性がないかの検討が必要でした。

② 受診状況等証明書(初診日証明)の取得

受診された2つの病院に、それぞれ作成を依頼いたしました。

  • 内科を受診されたのは1回のみでしたが、カルテが保管されていたため作成いただくことができました。自律神経失調症と診断されており、受診状況等証明書の「⑤発病から初診までの経過」欄に『仕事のストレスや倦怠感がある』など具体的な症状が記されていました。また同「⑨初診から終診まで日治療内容及び経過の概要」欄に処方薬についても記述がありました。
  • うつ病と診断された病院の受診状況等証明書の記載事項を確認しました。
    「③発病年月日」が内科受診より前と診断されている。
    「⑤発病から初診までの経過」欄の記述内容が、内科の受診状況等証明書と矛盾しない。

③ 請求手続き

内科受診日を現在の傷病「双極性感情障害」の初診日と特定して請求手続きを行いました。請求者様の症状が、内科受診時から現在まで継続していることを示すため、うつ病と診断された病院の受診状況等証明書を参考資料として提出しました。

結果

  • 障害厚生年金2級(年間122万円)認定

請求を終えて

  • 今回は精神疾患の初診日を内科受診日と特定したケースです。
  • 内科を受診する疾患は多くありますので、受診状況等証明書などで医師の所見を確認し、相当因果関係について検討する必要がありました。
  • 診断名の異なる傷病が同一傷病か別傷病なのか(相当因果関係の有無)は、審査により決定されます。
  • 相当因果関係ありと判断された傷病については同一傷病(診断名の変更)とされ、診断名が異なる傷病であっても、最初に受診した日が初診日となります。
  • 初診日は障害年金請求において最も重要な日付です。この日付を基に、加入していた年金制度および年金保険料の納付状況を確認するためです。
  • 請求者様は、受診時期によって加入している年金制度が異なっておられましたので、現在の傷病の初診日を内科受診日と認められたことにより、障害厚生年金を受給できました。
  • 初診日の特定には専門的な判断が必要なケースがあります。専門家にご相談いただければと思います。