双極性感情障害で、在職中でありながら障害厚生年金3級を受給できたケース

請求者

  • 男性(40代)
  • 傷病名:双極性感情障害
  • 年金種類と等級:障害厚生年金3級

ご相談時の状況

双極性感情障害と診断され、定期通院中のご本人に相談にお越しいただきました。

大学をご卒業後一般企業に就職され、充実した職業生活を送られていましたが、30代になった頃、わけもなく気分が落ち込み、焦燥感、希死念慮といった症状が出現、ついには出社できなくなった、とのことです。

様子がおかしいことから、周囲から精神科受診をすすめられ受診、双極性感情障害と診断されました。入退院、休職を繰り返し、すでに15年以上もの間、症状が安定せず、加療されてきました。現在も4回目の休職中、リワークプログラムに参加され再度の職場復帰に向けて努力されているとのことでした。
しかし、これまでの休職により経済的な面においても不安定であり、今後の生活について、不安を感じる毎日をお過ごしとのことです。

インターネットの検索により障害年金のことを知ったそうです。しかし、これまでの休職で、何度も傷病手当金を受給されていること、在職中でも障害年金を受給できるのか、いくつかの病院を転院してこれまで治療してきたが、どの医療機関にどのタイミングで何を依頼したらいいのか、など障害年金の請求に関してわからないことが多い。その上「病歴・就労状況等申立書」を自身でどのように作成したらよいかわからない、とのことでした。

じっくりご事情をお伺いし、在職中の障害年金請求を検討される場合、請求に際し、会社発行の「休職証明書」や、前年の収入の証明として「源泉徴収票」を添付する等の配慮が必要であることをお伝えしました。

また、初診日から1年6ヶ月後時点での「障害認定日請求」を求める場合には、障害認定日時点での症状を表す診断書の入手が必須であり、その症状が障害認定基準を満たしたものである必要があることをお伝えしました。

また、障害年金の請求には、「受診状況等証明書」=初診日の証明、障害認定日時点での診断書、現在の診断書、など、複数の医証が必要となります。それぞれ取得する順番、一つの医証が取得できなかった場合に、どのような代替手段があるか、など、効率よく手続きを進めるためには、これまでの経験やあらゆる知識を総動員した慎重な検討、ステップごとの結果を踏まえた迅速かつ柔軟な対応、が不可欠です。
この点について、弊所にご依頼頂いた場合、すべてを安心してお任せ頂ける旨、お伝え致しました。

結果、弊所に障害年金の請求手続きをお任せいただくこととなりました。

●相談から請求までのサポート

今回のご依頼のポイントは、

  • 約15年前の「受診状況等証明書」(初診日証明)が取得できるか
  • 初診日から1年6ヶ月後の「障害認定日」時点の診断書を提出するか否か
  • 休職中であるものの、在職中であり現在も標準報酬月額が高いが、障害認定されるかの3点です。

初診日における加入年金制度は厚生年金、前1年間の納付要件も満たしています。初診日証明は取得できませんでした。当職で医療機関に問い合わせるも、カルテ破棄済とのこと。
「受診状況等証明書を添付できない申立書」を作成、次に受診した医療機関で受診状況等証明書を作成してもらったところ、前医紹介状が添付されてきたため、初診日証明としての条件をクリアしました。

次に、障害認定日の診断書を取得し提出するか否かです。障害認定日以後3ヶ月以内のご状況について詳細に確認したところ、復職されていた時期であったこと、障害認定日から5年前にかけての約10年間、給料・賞与が高い水準で満額支給されていた、標準報酬月額が高い状況が続いている、等の状況でした。そのため、依頼者様と相談の上、障害認定日請求は求めない方針となりました。

最後に、休職中であることをどのように強く訴えるかについてです。
今回のケースのように、発病以後も継続して在職中である場合、日本年金機構に登録されている「標準報酬月額」は、休職前の水準を保ったままの状態です。たとえ休職されていても、降給があったり、退職されない限り、厚生年金納付記録上は、健康に勤務されている方と違いが見受けられないのです。休職されている場合は、勤務先である会社に依頼し、「休職証明書」を作成してもらい、その間給料が支給されていなかった旨記載のあるものを添付することが有効である可能性があります。
就労が困難で、休職していたことが証明できれば、その間の年金納付記録が続いていても、給与が支給されていなかったことが証明出来ます。今回は、さらに前年の源泉徴収票を添付し、請求者様の実態は、標準報酬月額から想定される収入を大幅に下回る状態であることを申し立てました。

このように、審査をする側に、いかに請求者様の実態を理解してもらえるような資料を揃えられるか、が重要となります。専門家に依頼したことが、結果、本当に良かった、と思って頂けることが私たちの使命です。請求者様が障害年金の受給権を獲得し、安心して治療に専念できる生活環境となられることを、日々願ってやみません。

結果

  • 障害厚生年金3級 年額約61万円 認定