うつ病で障害基礎年金2級を受給できたケース

請求者

  • 男性(20代)
  • 傷病名:うつ病
  • 年金種類と等級:障害厚生年金2級
  • 年金額 約78万円/年
  • 遡及支給額 約429万円
  • 初回ご相談から支給決定までに要した時間:約7ヶ月

ご相談時の状況

うつ病と診断され定期通院中のご本人に代わり、お母様に相談にお越しいただきました。ご本人は、長年にわたり通院さえ出来ないときもあるほどの状態で、とても相談にお越し頂けるような状況でないとのことです。

いわゆる転勤族の父に伴い、幼少期から全国を転々とされ、転校を繰り返していたとのことです。京都に住んでおられた中学生の頃から不登校気味となり、当時のスクールカウンセラーの勧めで、京都の精神科を受診、「思春期危機」と診断され、3年ほど通院されました。

高校進学後も状態は悪化し、不登校のまま幾度となく自殺未遂を繰り返す日々。心配されたご家族が、他の複数のクリニックに連れて行き通院を試みるなど、困難な生活が続きました。

高校卒業後には、関東に引っ越しすることとなり、転居先でも新たなクリニックを探し、通院されることになりました。しかし、ご本人は自室に閉じこもり、ご家族とさえ会話や食事が出来ず、月に数回の通院さえままならない状況でありました。比較的住み慣れた京都のクリニックであれば通院できるかもしれないと、関東から京都へ通院することになったそうです。

最近、父親の赴任先が名古屋となり、ご家族で名古屋に転居されてきました。ご本人の年齢も30歳間近となり、将来を案じ障害年金を受給できないかお考えになり始めたところ、弊所のホームページをご覧になり、相談にお越しいただいたという経緯です。

お母様としては、以下のことをご不安に感じられていました。

・初診日から15年以上が経過している。最初に受診した医院で初診日証明が取得できるか。
・中学生時代から現在まで4カ所のクリニックにかかっている。クリニックによって病名が変わっていたりするが、申請にあたり問題はないか。
・遡及請求(さかのぼり)をしたいが、どこにどのように診断書を依頼したらよいかわからない。

まずは順を追って「受診状況等申立書」の作成依頼をしていき、一つひとつ解決していく中で請求方法は自ずと定まってくる旨お伝えしました。お一人で抱えこんでおられると、何から手をつけたら良いかわからなくなってしまい、不安ばかりが先行してしまうものです。肩の荷を下ろされ、ぜひ私共にお任せください、と申し上げました。

お母様には、ぜひともお願いしたいとのお言葉を頂戴し、弊所にて障害年金の請求手続きを代行させて頂く運びとなりました。

ご相談から請求までのサポート

障害年金の請求手続きにおいてのスタート地点は、なんといっても「初診日」の確定です。初診日における加入年金制度によって受給できる年金制度が異なりますし、保険料の納付要件の確認時期も変わるからです。

今回のケースでは、15年程前の初診でしたが、問い合わせしましたところ幸い、クリニックにカルテが残されており、「受診状況等申立書」(初診日証明)の入手ができました。これにより、初診日が確定し、「20歳前障害」の請求スタイルとなりました。

「20歳前」に初診日がある傷病による障害年金の請求の場合、保険料納付要件は問われません。遠い過去の受診であってもカルテが残されているケースもあり、クリニック様には心証を悪くしないよう留意しつつ、粘り強く医証の作成依頼を交渉しなければなりません。

次に、障害認定日の診断書の作成依頼です。障害認定日とは、一般的には初診日から1年6ヶ月後の日のことを指しますが、20歳前に初診日がある場合(20歳前に厚生年金被保険者である場合は除く)は留意が必要です。

障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)が20歳になる前のときは20歳達した日、それ以降の場合は障害認定日(通常の、初診日から1年6ヶ月後)に障害状態であることが要件であり、求める診断書は20歳もしくは障害認定日の前後3ヶ月以内の診断に基づいた診断書(通常の障害年金は障害認定日から3ヶ月以内です)によって審査されます。

今回の場合、20歳前後の時期に、京都で長年診ていただいたクリニックに通院されていたこと、関東へ転居後も引き続き京都のクリニックに通院されていた事実があったことから、障害認定日、現在の診断書ともに、京都の同一クリニックの医師に作成を快諾して頂けました。

そのために、名古屋から京都に何度か受診される必要がありましたが、結果的に2通の診断書を作成頂くことが出来、無事障害年金の申請をすることができました。

受診歴における傷病名の変化についてですが、「受診状況等証明書」(初診日証明)では「思春期危機」とあり、障害認定日および現在の診断書では「うつ病」との記載でした。結果は、障害年金裁定請求書に記載の通りの初診日で障害認定されました。

精神疾患の場合、受診されるクリニック様により傷病名が変化していくことはよくあることです。「病歴・就労状況等申立書」においては発病から一連の症状が継続していたことを訴え、初診から現在までの病歴の流れをきちんと申し立てることが重要です。

結果

  • 障害基礎年金2級 年額約78万円 、さかのぼり受給額 約429万円 認定