網膜色素変性症により障害認定日当時の診断書が無くても障害認定日まで遡って障害厚生年金2級を受給できた例(後編)

請求者

  • 女性(30代)
  • 傷病名:両網膜色素変性症
  • 年金種類と等級:障害厚生年金2級

裁定請求について(前編より抜粋)

医者
  • 障害認定日当時に受診しておらず、障害状態を示す診断書を提出できない。
  • 障害認定日前後の時期の診断書を提出し、障害認定日ごろの障害の状態の審査を求める障害認定日請求。
  • 障害認定日請求は却下、事後重症請求で障害厚生年金2級決定。

審査請求について

日本年金機構のホームページに下記の記述があります。

「年金の決定に不服があるときは、決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に文書または口頭で、地方厚生局内に設置された社会保険審査官に審査請求することができます。」

請求者様には審査結果として下記書類が届きました。
① 国民年金・厚生年金保険障害給付の年金請求書の却下について
② 国民年金・厚生年金保険年金証書

①には却下の理由として「請求のあった傷病(網膜色素変性症)について、提出された診断書では、障害認定日である〇年〇月○日現在の障害の状態を認定することができません。」と記載されていました。
②は事後重症(請求日現在)の障害状況についての障害等級2級決定通知です。

②については取得した診断書の内容を認定基準に照らし合わせ、2級該当と認識しておりましたので、不服はありません。
①については、障害認定日頃の症状が障害状態に認定されることを争点に、不服申し立て(審査請求する)を請求者様へご提案いたしました。

請求者様は、不支給決定後に審査請求を経て請求が認められる可能性についてご存知ありませんでした。弊所から請求認められる可能性のある根拠を具体的にお伝えしたところ、審査請求を希望されました。

審査請求は、本人または代理人が行うことが出来ます。弊所は裁定請求に引き続き審査請求サポートをさせていただきました。

サポート内容

1. 不支給決定の理由を検証

  • 通知書に記載された却下の理由から、裁定請求時に障害認定日頃の診断書が添付されていなかったため審査段階で症状が確認されず障害状態を認定できない、と判断されたのではないかと推察しました。

2. 不服申し立ての争点整理

  • 認定日ごろ受診しておらず診断書が取れないことに対し、正当な理由があること
  • 認定日ごろ、障害等級に該当する程度の障害の状態があったこと

上記を客観的に証明する参考資料として、医師の意見書提出を検討しました。

結果

  • 不服申し立て(審査請求)により容認。原処分(不支給決定)が変更されました。
  • 障害認定日 障害厚生年金2級
  • 遡及分として過去5年分(888万円、加給年金含む)が支給されました。

請求を終えて

  • 弊所では請求手続後、決定内容を確認したうえで必要と思われるケースについて、審査請求の提案をさせていただきます。
  • 審査請求は、社会保険審査官に対して、原処分(不支給決定)の何に不服があるのか、どのような決定を求めるのかを、根拠を示して行います。
  • 今回は、審査請求についても引き続きサポートさせていただきました。
  • 不服申し立てにおいて、主張が認められるケースは多くありません。専門的な判断が必要になると考えます。