感音難聴(両耳)で障害厚生年金3級を受給できたケース

ご相談者

  • 男性(40代)
  • 傷病名:両感音難聴
  • 年金種類と等級:障害厚生年金3級
  • 支給月から更新月までの支給総額:約175万円
  • 初回ご相談から支給決定までに要した時間:約6ヶ月

相談時の状況

難聴イメージ

聴覚障害をお持ちのご本人様に相談にお越しいただきました。

  • 成育歴において健康に問題なく、大学ご卒業後は一般企業にご就職、販売職に従事。
  • 約3年前、以前より少し聞こえが悪くなっていたと感じていたものが、さらに聞こえが 悪くなったと感じ、総合病院の耳鼻科を受診。
    診察、諸検査の結果、「両感音難聴」との診断、原因不明、治療法もないと伝えられた。医師に補聴器の装用を勧められ試したものの、聞こえに改善なく、現在何も着用せず生活されている。
  • 現在の症状としては聴力よりも、語音明瞭度が低く(両耳0%)、日常生活、お仕事上の接客販売の際に支障が大きい。障害者手帳は4級で取得済。
  • 接客業のご職業柄、お客様からお声かけされても気付きにくい、売り場の電話の音、チャイムの音、アナウンス音声が聞き取れない等、業務に制限を感じている。また、日常生活においては、テレビで何を言っているのかわからないため、大切なことは家族に筆談してもらう等のサポートしてもらっている。

最近障害年金のことをインターネットで知り、ご自身も対象になるのかどうか、受給見込みがあるのであれば請求してみたいとのことでご相談をいただきました。

相談から請求までのサポート

60分間の無料相談にお見えになった際には、弊所相談室のホワイトボードに書き込みながらご説明させていただき、お互いの質疑応答についても筆談でご対応させていただきました。

日中はお仕事をされていらっしゃることから、平日手続きや書類収集・文書作成に費やせるお時間が限られ、弊所に障害年金の請求手続きをお任せいただくこととなりました。

初診日の特定

通常、初診日の証明(受診状況等証明書)の取得から始めるところですが、今回は現在の診断書を書いていただく医療機関が初診医療機関と同一とのことでしたので、現在の診断書1本で進める方針となりました。
しかし、出来上がった診断書を確認すると、初診日は遙か20年前、他医療機関の耳鼻科にかかった、という記録がカルテに残っている旨の内容でした。

ご本人にお伺いすると、確かに約20年前に他の耳鼻科を受診され、耳の聞こえについて診察を受けられたそうですが、その際、聴力検査、脳波、CT等の精密検査をしたものの異常所見なく、聴覚にも問題なしと診断されたため、ご自身としては初診日とならないと思っておられたとのことでした。

そこで、現在の診断書の「傷病のため初めて医師の診察を受けた日」の欄には「不詳」としていただき、20年前に耳鼻科受診した事実はあったものの、

  • ①その際には異常所見はなかった。
  • ②今回の医療機関受診までの20年間において、
    耳の聞こえに関し受診したことはなかった。

という2点について証明し、請求に進むことを考えました。

①について、当時の医療機関にてカルテの保管はなく医証は得られませんでした。「病歴・就労状況等申立書」および「耳の聞こえに関する申立書」において、当時からの状況を詳細に申し立てました。

②について、お勤め先の健康保険組合様に依頼し、過去から現在に至るまでの可能な限りのレセプト開示請求を行い、耳鼻科の受診歴がないことを証明致しました。

結果が出るまで、初診日をどの時点で認められるか大変心配なケースでした。依頼者様の現在の障害状態は、認定基準に照らすと3級に該当することから、厚生年金加入期間において初診日認定される必要がありました。

仮に20年前の耳鼻科受診を初診と認定された場合、当時は大学生で国民年金加入中であったために、現在の症状では障害年金が受給できないことになります。初診日が国民年金の方の場合は、障害年金は1級と2級のみの受給となるためです。

結果

障害厚生年金3級(年額約58万円)認定