黄斑変性症で障害厚生年金2級を受給できた事例

ご相談者

  • 男性(40代)
  • 傷病名:黄斑変性症
  • 年金種類と等級:障害厚生年金2級

相談時の状況

ご本人に相談にお越しいただきました。

  • 中学2年生の時に眼鏡を使用することになったが、特に目の疾患を指摘されたこともなく、社会人になった後も日常生活にも支障なく過ごしていた。
  • しかし、15年ほど前から見え辛いと感じるようになり、視力を測りに眼科を受診した。この当時の病名については、近視を指摘されたこと以外はよく覚えていなかった。
  • 視力は眼鏡をかけて両眼0.1くらいだった。7年前に障害者手帳5級が交付された。
  • その後、視力は徐々に低下し、仕事を継続できない状態となったため、退職した。
    視力の異常を自覚、4年前に初めて総合病院を受診し、黄斑変性症と診断された。
  • 視力低下が進行し、障害者手帳3級が交付され、障害年金を申請したいが、自身での手続きが困難

とのことでご相談いただきました。

相談から請求までのサポート

この方の場合は、初診日と考えられる日が二つありました。
一つは15年前に眼科を受診された日、もう一つは4年前に総合病院を受診された日です。

どちらの日が初診日となっても厚生年金に加入されており、保険料納付要件は満たしておられましたが、どちらが初診日になるかで、事後重症請求か認定日遡及請求かが決まるケースでした。

ご本人は特にこだわっておられませんでしたが、当然、認定日遡及請求が有利なため、認定日遡及請求が可能かどうかを徹底的に調べることにしました。

初診日は、病気とそれが原因となって発した病気について初めて医師の診療を受けた日のことを言います。

障害をもたらした病気の前に原因となった病気がある場合は、その前の病気の最初の受診日が初診日となります。ということは、前発の病気が後発の病気の原因であるといえるかどうかが問題となるということです。

この「原因であるといえるかどうか」を「相当因果関係」といいますが、この因果関係の認定は容易ではありません。

そこで、国は「障害給付(障害厚生)の手引き」において、「相当因果関係ありと取り扱うものが多いもの」「相当因果関係なしと取り扱われることが多いもの」について具体的な事例を挙げています。これによると、「近視」と「黄斑部変性」は「相当因果関係なしと取り扱われることが多いもの」とされています。

つまり、この方の場合、15年前に眼科を受診された時の病名が「近視」であれば、当時の病気と現在の黄斑変性症が相当因果関係なしとされ、4年前の総合病院を受診された日が初診日となる可能性が高くなります。

15年前に受診された眼科に問い合わせたところ、カルテを探してくださるとのことでした。同時に区役所に障害者手帳申請時の診断書の写し交付手続きを行いました。また、事後重症請求になる可能性もあるため、現在の診断書を早めに依頼することにしました。

結果、15年前の眼科受診時の病名が「近視」ではなく、「近視性網脈絡膜症」であることが判明しました。「相当因果関係あり」と考えられ、初診日は15年前となります。急ぎ事後重症請求を行うことにしました。

その後、徹底的に調べた結果、認定日遡及請求の可能性がないと判明したため、納得の上で手続きを行うことができました。ご本人も大変喜んでおられました。

結果

障害厚生年金2級(年間約116万円)認定