申立日を初診日とするのが困難な場合に受診状況等証明書を作成した事例

ご相談者

  • 女性(40代)
  • 傷病名:慢性腎不全
  • 年金種類と等級:障害厚生年金2級

相談時の状況

ご請求者とご主人のお二人でご来所いただき「自分たちで手続きを始めたが、初診日証明が取れなかった。この場合の手続き方法について知りたい。」との相談をお受けしました。
病院のソーシャルワーカーに障害年金請求について相談しておられ、初診日、障害認定日や必要書類についてご存知でした。

相談から請求までのサポート

① 病歴の確認

  • 入社2~3年後に勤務先で受けた健康診断の尿検査で異常所見を指摘された。
  • 会社から紹介された総合病院を受診し、慢性糸球体腎炎と診断された。
  • 定期的に検査を受検けたが、自覚症状がないため、2年ほどで受診を中断した。
  • 結婚を控え、健康診断を受けた際に慢性腎炎の病歴を医師に伝えた。
  • 結婚後、自宅に近く通院しやすい総合病院へ13年ほど通院。
  • 症状が悪化し、慢性腎不全と診断された。
  • 内服治療を継続しているが腎機能が徐々に低下している。
  • 身体障害者手帳4級

② 初診日証明が取れない場合

お伺いした病歴から、初診日は健康診断で異常を指摘された後に始めて医師の診断を受けた日と特定し、手続きを進めました。
平成27年10月1日施行「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」を基に初診日を証明する具体的な以下の書類を例示し、説明いたしました。

  • 第三者証明+その他の客観資料(健康保険のレセプト、発行日記載のある診察券など)
  • 5年以上前のカルテ
    →請求から5年以上前の日付のカルテに本人申し立ての初診日が記載されている場合には、本人申し立ての受診時期を初診日と認めることができる
  • 健康診断結果
    →初めて治療目的で医療機関を受診した日の医証が得られない場合で、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合、請求者から健診日を初診日とする申し立てがあれば、健診結果などを添付したうえで健診日を初診日と認めることができる。

ご請求者様とご主人には、上記を説明したうえで取得可能な書類を検討いただきました。

→診日頃の勤務先を退職したのが20年ほど前で、当時の同僚との付き合いが途絶えている。
 健診結果は手元に残っておらず、当時の勤務先での保管もされていない。
 2番目以降の病院のカルテには初診日についての具体的な記載がない。

お話をうかがう限り、平成27年公布の初診日通知による取扱いでは、請求者様の申し立て日を初診日として認められるのは困難であることをお伝えいたしました。

そこで、他に参考になりそうな客観的な証拠がないか、初診日頃の生活状況・ほかの傷病での通院歴などをヒアリングいたしました。
腎炎と無関係と思われる内容についても、お話いただいているうちに、健診で異常を指摘された頃、仕事のストレスを強く感じており、子供の頃からのかかりつけ医を受診していたことを思い出されました。

病院に確認したところ、当時のカルテが保存されているとのことでしたので、かかりつけ医の先生に、受診状況等証明書を作成いただきました。

③ 事後重症請求

初診日から1年半後の障害認定日頃は、自覚症状がなく、年2回ほどの検査のため受診していたとのことでした。
事後重症(現在の症状)での請求をいたしました。

結果

障害厚生年金2級(年間約165万円、加給年金含む)認定