脳梗塞で障害厚生年金2級を取得できたケース

ご相談者

  • 男性(30代)
  • 傷病名:脳梗塞
  • 年金種類と等級:障害厚生年金2級
  • 支給月から更新月までの支給総額:292万円

相談時の状況

  • ご本人に相談にお越しいただきました。
  • 3年ほど前から高血圧症で病院を受診されていましたが、約半年前に右片麻痺の症状が現われ、生活動作に著しい障害が生じるようになりました。検査の結果、脳梗塞との診断を受けました。その後、右片麻痺が悪化、右手での動作が全くできなくなりました。
  • また、杖があれば歩行可能であるものの、地下鉄やバス等の移動は困難とのことでした。
  • 当事務所にはタクシーでお越しいただきましたが、カバンから物を取り出すのも困難で、お手伝いさせていただく状況でした。
  • しかし、大変楽しい方で、辛い内容にもかかわらずユーモアたっぷりにお話いただき、双明るい雰囲気の中で相談を進めさせていただくことができました。
  • 脳梗塞の場合は早めに障害年金を申請できると聞いたが...とのご相談でした。

相談から請求までのサポート

この方の場合、「初診日と相当因果関係」と「障害認定日の特例」の2点に特に留意する必要がありました。

① 初診日と相当因果関係

初診日については、病気とそれが原因となって発した病気について初めて医師の診療を受けた日が初診日として取り扱われます。
障害をもたらした病気の前に原因となった病気がある場合は、前発の病気の最初の受診日が初診日となるということです。

ということは前発の病気が後発の病気の原因であるかどうかが問題となり、この関係を障害認定基準では「相当因果関係」と言っています。
どの程度の原因となっている場合に「相当因果関係あり」または「相当因果関係無し」になるのか判断は大変難しく、審査ではどのように取り扱うことが多いのか確認することが必要となります。

この方の場合は、高血圧症と脳梗塞について「相当因果関係あり」となるのか「相当因果関係なし」になるのかが問題となりますが、これについては「高血圧と脳出血、高血圧と脳梗塞は相当因果関係なし」とするとされています。

よって、この方の初診日は約3年前に高血圧症で初めて受診した日ではなく、約半年前に脳梗塞で初めて病院を受診した日となります。

② 障害認定日の特例

脳梗塞の初診日が半年前になりますので、この方の場合はまだ初診日から1年6ヶ月経過していないことになります。
まだ障害認定日(障害の程度を定める日)が到来していないため障害年金を申請できないのかというと、そうではありません。
脳梗塞のような脳血管障害の場合は、障害認定日が特例的に扱われる可能性があります。

平成24年9月の認定基準改正で、下記が加えられました。

脳血管障害により機能障害を残しているときは、初診日から6月経過した日以後に、医学的観点からそれ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき。

脳梗塞のような脳血管障害の場合は、初診日から1年6ヶ月経っていなくても、6ヶ月経過後に医学的に症状固定と確認できれば、障害年金を早めに受給できる可能性があるということです。

この方の場合は、主治医の先生に確認をしたところ、症状固定と認められるということでしたので、すぐに診断書を作成いただき、早めに障害年金を受給できることになりました。

結果

障害厚生年金2級(年間約146万円)認定