「アスペルガー症候群」および「反復性うつ病性障害」により障害認定日から遡って障害厚生年金2級を受給できた事例

相談者

相談時の状況

  • 請求者様ご本人とお母様にご来所いただき「自閉症でも障害年金を請求できるのか知りたい」との相談をお受けしました。
  • 現在は昼夜逆転の生活で、就労は困難な状態。
  • 現在通院中の病院で診断書を取得済み。未開封の状態でお持ちでした。

サポート内容

1. 障害状態の確認

  • 診断書により現在の障害の状態を確認いたしました。
  • 主治医の診断は「反復性うつ病性障害」、既存障害として「アスペルガー症候群」

2. 初診日の特定

  • 請求者様の受診歴を確認いたしました。
  • 就職後、職場の人間関係に悩み産業医に相談。
  • 産業医の紹介でメンタルクリニックを受診。「広汎性発達障害」と診断され投薬治療。
  • カウンセリング治療と投薬治療を続けたが、抑うつ状態となった。
  • 自殺願望が生じ、入院治療。退院後もデイケアなどに参加するよう指導を受けた。
  • カウンセリング等の治療を継続している。
  • 発達障害と診断された後にうつ病を併発した場合は、同一疾病として取り扱うとされています。(厚生労働省年金局事業管理課の回答)

→「反復性うつ病性障害」の初診日ではなく、「広汎性発達障害」と診断されたメンタルクリニック受診日を障害年金請求の際の初診日と特定しました。(現在の主治医が「アスペルガー症候群」を既存障害と診断されたこととも整合性が取れます。)

※広汎性発達障害:コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達障害の総称。自閉症、アスペルガー症候群、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の発達障害を含みます。

3. 認定日請求

  • 請求者様、お母様とも現在の状態が障害等級に該当するのではないかとお考えで「事後重症による請求」を検討されていました。

→障害年金の請求は障害認定日(初診日から1年6カ月を経過した日)に行うのが原則となっているため、障害認定日に障害の状態であれば遡って請求が可能です。請求者様の場合は「広汎性発達障害」の初診日を障害年金請求上の初診日として特定いたしましたので、初診日から5年以上経過していました。

障害認定日ごろの受診や日常生活で困難なことについて、詳しくお話を伺いました。抑うつ状態にあり休職していた、自殺未遂があったなど家族の援助が必要な状態だったことから、「障害認定日請求(遡及請求)」として請求いたしました。

結果

障害厚生年金2級(年間約114万円、)認定

遡及4年9カ月分(約500万円)支給

請求を終えて

  • 今回は複数の精神障害を持つケースでした。初診日の異なる傷病が複数ある場合、併発している傷病が「同一疾病」なのか否か判断がの必要です。
  • 今回の判断にあたり、厚生労働省年金局事業管理課の回答(情報提供)を参考に致しました。
  • 初診日は、障害年金請求にあたり最も重要な部分です。
  • 初診日を特定することで、請求する年金の種類・認定日を判断できます。
  • 専門的な判断が必要なケースについて、ご相談ください。