多系統萎縮症により障害認定日から遡って障害厚生年金2級を受給できたケース

●相談者

病歴

●相談時の状況

奥様にご来所いただき「傷病手当金を受給中。障害年金申請のタイミングを知りたい」との相談をお受けしました。

障害年金については、身体障害者手帳申請の際に、窓口で案内を受けて年金事務所に相談されており、初診日、障害認定日や必要書類についてご存知でした。

医師からは「進行性の病気の為、以降は段階的に悪くなる」と説明を受けておられました。

●相談から請求までのサポート

傷病手当金受給中の障害厚生年金請求手続きについて

傷病手当金受給中でも障害年金請求は可能です。

傷病手当金の受給期間は最長1年6カ月と決められています。

障害年金の申請には多くの書類の準備が必要で、全ての書類を揃えるのに数ヶ月かかることもあります。また、申請後の年金機構による審査があり、結果の通知までに3ヶ月ほどかかります。

上記をご説明したうえで、傷病手当金受給期間の終了から障害年金の決定まで、給付のない期間が生じないタイミングの申請をおすすめいたしました。

認定日請求

奥様は、身体障害者手帳の交付を受けたことで障害年金の受給が可能になったと認識されており、「事後重症による請求」を検討されていました。

障害年金の請求は「障害認定日」に行うのが原則です。認定日に障害の状態であれば障害認定日に遡って請求が可能です。請求者様の場合は初診日から3年ほどが経過していました。

障害認定日ごろの受診や日常生活で困難なことについて、奥様から詳しくお話しを伺いました。リハビリの内容、常時杖や手すりを必要としていることや、日常動作の際多くの時間がかかることなど支援が必要な状態であったことから、「障害認定日請求(遡及請求)」として請求いたしました。

また、進行性の病気の場合、症状の急激な悪化により障害等級の変更(額改定請求)も考えられます。障害認定日から請求日までの間に、障害状態が悪化している可能性も検討いたしました。

傷病手当金と障害厚生年金の併給調整について

同じ病気を理由とする傷病手当金と障害厚生年金の給付金額は合計額ではありません。まず障害年金が支払われ、傷病手当金と障害年金の日額の差額が傷病手当金として支給されます。

障害厚生年金の遡及請求が認められた場合、遡及した年金支払期間の傷病手当金を受給していた期間について、重複して支給された分の傷病手当金の返還を求められます。その際は、初回に支払われる額(遡及分)以上に返還を求められることはありません。また、受給金額が少なくなるわけではありません。

診断書について

多系統萎縮症用として単独の診断書はありません。

障害の状態を示す診断書を選択する必要があります。

請求者様は複数箇所に障害が認められ、診断書も複数種類必要でしたが、主治医に診断書を作成していただきました。

●結果

障害厚生年金2級(年間約230万円)認定、遡及額 約400万円