てんかん治療中にうつ病を併発し、障害基礎年金2級を取得できたケース
相談者
- 女性(30代)
- 傷病名:てんかん性うつ病
- 年金種類と等級:障害基礎年金2級
相談時の状況
ご本人に相談にお越しいただきました。
11歳時に、音楽を聴いていたら突然意識を失うてんかん発作が起き、病院へ救急搬送されました。その後、年2回程度てんかん発作が起きましたが、抗てんかん薬投与により17歳時には発作は治まっていました。しかし、徐々に気分の落ち込みやイライラが現われるようになりました。
19歳で就職されましたが、上記症状により欠勤早退が多く、長続きせず、アルバイト、契約社員、パートを転々とされました。
31歳時に、精神科を受診し、てんかんに併発するうつ病と診断され、33歳時より抗てんかん薬に加え抗うつ薬の投与を開始されましたが、当時は障害年金のことはご存知ありませんでした。
ご相談いただいた時点では、既に30代後半になられていました。アルバイトで軽作業に従事されていましたが、欠勤遅刻早退を繰り返されていました。アルバイトに行くと、その後は寝込んでしまい、何も出来なくなるという状況で、日常的にご家族の援助が必要でした。
相談から請求までのサポート
てんかん性精神病は、てんかん発作が起きて初めて受診した日が初診日となります。この方の場合、現在はてんかん発作が治まっていますが、11歳時に突然意識を失って緊急搬送された日が初診日となります。
初診日証明(「受診状況等証明書」)が取れない!!
11歳時てんかん発作で救急搬送された病院では、保存年限切れでカルテが破棄されており、初診日証明が取れませんでした。次に転院された病院でも、既に廃業していて初診日証明が取れませんでした。
現在受診中の病院は、これまでの受診暦や受診状況は把握されているものの、初診日は明確に把握されておらず、初診日の医療証明書は取れませんでした。
他に初診日が確認できる書類は残っていないか?
ご本人とご家族に11歳当時の以下の書類が残っていないか確認をしていただきましたが、古い書類は引越の際に全て破棄されていて、何も残っていませんでした。
- 領収証
- 診察券
- 小学校の健康診断の記録
- 小学校の成績通知表
- 本人や家族の日記
- 本人、家族、友人の手紙
救急搬送されたことを知る先生や友人はいないか?(「第三者証明」)
厚生労働省は、平成27年9月28日付通知(「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取り扱いについて」)で、20歳前に初診日がある場合は、第三者証明だけで初診日を認定することがあることを明確にしました。
平成23年12月16日付通知でも、20歳前に初診日がある場合は「医療機関で診療を受けていたことを複数の第三者が証明したものを添付できるときは、初診日を明らかにする書類として取り扱う」としていたのですが、年金機構が「第三者証明のみでは認定してはならない」という内部指示を出し、そのため第三者証明のみの提出では初診日を認定しないケースが多々ありました。
平成27年の通知で、このような却下は許されないことが明らかになりました。
上記厚生労働省通知に基づき、20歳前に初診日がある場合、初診日証明が取れない場合や、何らかの客観的な書類が無い場合は、第三者の証明が初診日を明らかにできる書類として取り扱われます。
この方の場合は、お母様の友人(お母様と高校時代からの友人で、ご本人とも幼少期から家族同然の付き合いをされていた方)とご本人の友人(小学校の同級生)の申立てで初診日が認められました。
お母様の友人は、当時、救急搬送されたとの連絡を受け、お見舞いに来られていました。
ご本人の友人は夏休みに遊ぶ約束をしていたのが、突然病院に搬送されたと聞き、驚いたことをよく覚えておられ、救急搬送後も通院していたこと、処方された薬を飲んでいたこともそばで見ていて明確に覚えておられました。現在は他府県に引っ越されていましたが、連絡がつき、快く引き受けて下さいました。
認定日請求の可能性を探りましたが、20歳時てんかん発作は治まっており、精神症状での受診もありませんでしたので、事後重症として請求しました。
結果
障害基礎年金2級(年間約78万円)認定