脳梗塞
脳血管障害の障害認定基準が平成24年9月に改正
脳梗塞により障害年金の申請をお考えの方からのご相談
ご相談者
男性(50代)
障害の種類
- 脳梗塞
状況(発育歴・治療歴)
- 約1年前に右半身の脱力で病院に救急搬送され、脳梗塞と診断されました。2か月後に手術を受けられましたが、手術後、右片麻痺が現れました。
- また、感情が不安定になり、入院中も、暴れたり、他の患者を今にも殴りそうな勢いでにらみつけたり、ナースステーションに怒鳴りに行くなど、たびたび病院でトラブルを起こすようになったそうです(発病前は穏やかな性格の方でした)。
- 退院後、徐々に右片麻痺は改善しましたが、高次脳機能障害は残り、感情のコントロールが困難で、易怒性、攻撃性があるため、ヘルパーや親族ともしばしばトラブルを起こすそうです。近所のスーパーで人を殴ってしまい、警察沙汰になったこともあるとのことでした。
ご相談の内容
Q. 今すぐ障害年金の手続きをしたいのですが、可能ですか。
A. 障害認定基準が平成24年9月に改正され、「脳血管障害により機能障害を残しているときは、初診日から6月経過した日以後に、医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき」は原則として初診日から起算して1年6月を経過した日以前であっても障害認定日として取り扱うこととされました。
脳血管障害の場合、医学的に6か月以内には症状固定はないとされていることから、「6か月経過した日以後」とされていますが、6か月経過後に症状固定とみなされる訳ではありません。6か月経過後に医学的にそれ以上機能回復がほとんど望めないと認められた場合のみ障害認定日と認められるということです。
また、脳血管障害とは、脳に血液を供給する血管に障害が生じることで脳の機能が影響を受ける状態を指し、代表的なものとして、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血が挙げられます。
相談者様は脳梗塞の手術後、右片麻痺が残りましたが、右片麻痺は「肢体の障害」に該当します。リハビリ等を行っても機能回復がほとんど望めないことを医師が証明した場合、初診日から1年6月以内の現在の時点でも障害年金の申請が可能です。
ただし、高次脳機能障害は「精神の障害」に該当します。「精神の障害」は事実上、症状固定と認定されることは極めて難しいです。通常、初診日から1年6か月経過した時点での申請となります。
よって、今すぐ障害年金の申請を行う場合は「肢体の障害」のみで認定を受けることになります。肢体の障害の程度が障害等級に該当する程ではない場合は、初診日から1年6か月経過するのを待って、症状が重いと考えられる精神の障害で申請をされるのがよいでしょう。
ご相談をお受けして
脳梗塞など脳血管障害により機能障害を残しているときは、1年6か月前に症状固定とされた場合は、障害年金を早めに受給できる可能性があります。医師によく確認し、申請できるかどうかを検討することが重要です。