カルテの廃棄
「受診状況等証明書」以外で初診を証明できる証拠

カルテが無いが双極性障害により障害年金の申請をお考えの方からのご相談

ご相談者

女性(50歳)

障害の種類

  • 双極性障害

状況(発育歴・治療歴)

  • 約15年前に出産、その後不眠が続き、激しいめまいを起こすようになりました。かかりつけ医を受診したところ、母性抑うつ、不眠症と診断されたそうです。
  • その後、症状が悪化し、精神科を受診されたところ、うつ病と診断されました。またさらに悪化し、1か月間入院されました。退院後は家族の付き添いの元、現在まで通院を続けられているそうです。
  • 家族以外の人との会話は困難で、子供の学校行事にはこれまで一度も参加できていないそうです。最近になって、就労支援施設A型事業所でどうにかパート勤務はできるようになったとのことでした。

ご相談の内容

Q. 15年前に受診した病院に問い合わせたところ、既にカルテが廃棄されており、「受診状況等証明書」が取れません。初診日を証明するにはどうすればよいですか。

A. 初診日の証明は「受診状況等証明書」の提出が原則です。「受診状況等証明書」は受診した医師が書いたカルテに基づいて作成されますが、カルテの保存期間は5年と義務づけられています。逆に言えば、5年を経過したカルテの保存義務はありません。

一方、障害年金の初診証明は遡及限度がありません。5年より前に初診日があっても、「受診状況等証明書」を提出するよう求められます。

したがって、5年以上前に初診日がある場合は「受診状況等証明書」を取得できないケースが多々あります。特に、相談者様のように長期の療養を必要とする精神疾患の場合は稀なことではありません。

このような場合、「受診状況等証明書」以外で初診を証明できる証拠を探す必要があります。年金機構では「障害者手帳」「障害者手帳申請時の診断書」「健康診断記録」「インフォームド・コンセント等による医療情報サマリー」等を具体的な例として挙げていますので、先ずこれらの書類を探されるのが良いでしょう。

これらの書類が無い様であれば、これらの書類に近いものを探します。例えば、診察券、受付簿、領収書などが挙げられます。その他、生命保険給付申請時の診断書、母子手帳、お薬手帳、次の病院への紹介状等も有効となることがあります。

また、2番目に受診された病院が記載した「受診状況等証明書」で1つ目の病院の初診日が明らかになることがあります。相談者様の場合は、先ず、2番目の病院に「受診状況等証明書」の作成を依頼されると良いと思います。

ご相談をお受けして

障害年金において、初診日は大変重要であり、原則として年月日まで証明する必要があります。5年以上前の日付のカルテがない場合は、初診日の証明が困難なケースが多々ありますので、専門家に依頼される方が受給権取得の可能性が高まると思われます。