統合失調症
精神障害で2つの病名がある場合に検討すること

統合失調症により障害年金の申請をお考えの方からのご相談

ご相談者

女性(30歳)

障害の種類

  • 統合失調症

状況(発育歴・治療歴)

  • 小学校4年生の春頃から不登校気味になり、夏頃には全く登校できなくなりました。
  • 中学校も一度も登校することなく卒業し、高校は受験せず、自閉的生活になったそうです。外へ出るのが怖くなり、親戚の家に行くのも困難な状態だったそうです。
  • 18歳の時にメンタルクリニックを受診、不安障害と診断されました。症状が続いたため、精神科を受診されたところ、当初は不安障害と診断されましたが、その後診断名が変わり、統合失調症と言われました。
  • 長年にわたり、毎日、ネガティブな内容の声が聞こえていたそうですが、特別なことだとは思っていなかったそうです。
  • しかし、20代になって母に聞いてみたところ、幻聴はないと言われ、病気であることを自覚するようになったそうです。現在も自宅近くの精神科に通院しながら自閉的な生活を続けているとのことでした。

ご相談の内容

Q. 最初は不安障害、その後統合失調症と診断されましたが、初診証明はどの病院で取ればよいですか。

A. 精神障害で2つの病名がある場合は、同一傷病か別傷病かを検討する必要があります。同一傷病であれば前発傷病の初診日証明を取得し、申請します。別傷病の場合は、それぞれの初診日証明を取得し、申請します。

相談者様の場合、不安障害ICD-10コードF4の後に統合失調症F2と診断されていますので、診断名の変更と判断され、同一傷病として取り扱われると考えます。よって、18歳の時に受診されたメンタルクリニックで初診日証明を取得し、障害年金の申請をするのが良いと思います。

統合失調症では病名が変わることが多く、例えば、下記のようなケースがあります。

神経症 →統合失調症
不安障害→統合失調症
人格障害→統合失調症
不眠症 →統合失調症

これらの場合、病態を分けることはできないので、原則、別傷病とは扱われず同一傷病とされます。

ただし、最近の傾向として、統合失調症の特異的症状が発症した以降を初診日として認定する事例も出てきています。病態が明らかに変わって、ある時点で急に幻聴や妄想、残遺状態など、統合失調症に特異的な症状が現れているような場合は注意が必要です。医師に対して十分確認する必要があるでしょう。

ご相談をお受けして

原則として、精神障害の場合には、病名が変わっていても一つの傷病として扱われます。しかし、例外もありますので、医師の意見、医学的な考え方を確認し、同一傷病か別傷病かを検討する必要があります。ご自身での判断が難しい場合は、専門家に相談されることをお勧めします。