うつ病
平成28年9月「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」

うつ病により障害年金の申請をお考えの方からのご相談

ご相談者

女性(40歳)

障害の種類

  • うつ病

状況(発育歴・治療歴)

  • 現在は無職であるが、発症当時(10年程前)は病院にて勤務。その頃の人間関係や仕事でのストレスからだんだん不眠がちになるなどの体調に異変が現れ始める。心身ともに限界を感じ、休職期間を経て退職。
  • その後しばらくは少し落ち着いていたが、妊娠・出産を経て生活が大きく変化したことなどのストレスからまた体調不良が再発。
  • 寝付けない、何事にも意欲が湧かない、涙が勝手に出てくる、気持ちの整理がうまくつかない等の症状があり、うつ病と診断され、不眠薬や抗うつ剤を服用するなど治療しながら現在に至る。
  • 現在は、子供(0歳、2歳)と夫の4人家族。しかし、育児や家事はできる状態ではないため、保育園の送迎、食料品の買い出し、食事をつくる、掃除や洗濯などはほとんど夫が担っている。
  • 自身は、体調が悪い時は1日中引きこもって寝込んでいるような状態。

ご相談の内容

ご相談時は、旦那様もご一緒にご来所して下さりました。
障害年金がもらえるのか、遡及はできるのか、ということを知りたいとのことでした。

お話を聞く限りでは初診日と思われる頃は厚生年金の加入期間であったため、

  • 障害年金認定基準に定める1~3級相当の障害状態に該当すれば障害年金が受給できるということ、
  • また遡及については申請自体可能であるが、認定日頃の診断書の添付が必要であることと、
  • 障害年金の請求は5年の時効があるのでその範囲でしか請求できないこと、
  • また認定日頃の診断書の内容(障害の程度)によっては遡及が難しく、障害年金を受給できたとしても事後重症(将来に向かっての年金受給)となる可能性があるということ

をお話しました。

ご相談をお受けして

精神の障害については、過去の都道府県間の支給・不支給決定の不公平を是正するため、平成28年9月に「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が定められ、精神障害の診断書裏面「日常生活能力の判定」の平均数値と「日常生活能力の程度」の評価をガイドライン中にある表に当てはめることで、おおよその障害等級の目安が分かるようになりました。

さらに、ガイドラインでは診断書の日常生活能力の判定および程度以外にも、どのようなことが審査において総合的に判断されるのかが示され(「総合評価の際に考慮すべき要素の例」)、
例えば就労をしていたとしても頻回の欠勤・早退・遅刻当があれば考慮する、
独居でも日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けている場合にはそれも考慮する、
など、検討されるポイントが随分と明確になりました。

障害年金は提出した書類をもって審査・決定されることとなりますので、添付する診断書や病歴・就労状況申立書がとても大きな意味を持ちます。

精神の障害については特に上記事項を踏まえた上で、ポイントとなることをしっかりと押さえて書類を作成することが大切です。