併合認定により障害基礎年金1級を受給できた場合

ご相談者

  • 男性(30代)
  • 傷病名:うつ病、ALS
  • 年金種類と等級:障害厚生年金1級

相談時の状況

  • 車椅子を使用している請求者様ご本人とお母様にご来所いただき、障害年金請求手続きの方法についての相談をお受けしました。
  • 現在は、痛みが続くことにより強い抑うつ気分が続き、自室に引きこもった生活を続けている。
  • 肢体不自由のため日常生活では家族の介助を必要としている。

サポート内容

① 障害状態について確認

  • ヒアリングにより現在の障害の状態を確認いたしました。
  • 車椅子使用のきっかけをお尋ねしたところ、「うつ病のため引きこもりの状態で歩く気力もなく、足腰の筋力が低下したため」とお考えでした。
  • うつ病については、子供の頃から憂うつな気分があり小学校も休みがち。高校生の頃、友人関係のトラブルにより不眠の症状があった。
  • 不眠や憂うつ感は現在まで継続。両下肢の痛みがあり、引きこもりが続いている。

② 初診日の特定

請求者様の受診歴を確認いたしました。

 受診歴

  • 不眠症の治療のためメンタルクリニックを受診。
  • 以降、投薬治療を継続。症状の変化に伴い、傷病名の変更があった。
  • うつ症状が強く、入院治療。退院後は体力低下が著しく車椅子を使用。
  • 形成外科を受診。両下肢の筋萎縮を指摘され、リハビリ治療を受けた。
  • 両足の機能障害により身体障害者手帳2級取得。
  • 現在、足のリハビリは行っていない。

請求者様は2つの障害をお持ちでしたので、それぞれの障害について初診日を特定いたしました。

  • うつ病 →不眠症で受診したメンタルクリニックの初診日(20歳前、年金未加入)
  • ALS →形成外科の初診日(国民年金加入中)
  • うつ症状が強く、入院治療。退院後は体力低下が著しく車椅子を使用。

③ 併合認定

  • 障害が複数ある場合には、「障害の併合」の手法が使われます。
  • 併合の手法には類型があります。請求者様は、併合認定により1級の型に該当いたしました。

    ※併合認定:複数の障害がある場合は、それぞれの障害について併合判定参考表の該当する番号を求め、それらを併合認定表に当てはめて1つの障害等級を認定する方法。

  • 請求者様の場合は併合認定により、ALS(後発障害)の初診日の加入要件、納付要件により併合後の年金の種類が決まります。うつ病(先発障害)については加入要件、納付要件は問われません。

結果

障害基礎年金1級(年間約97万円)認定
永久認定(更新手続き不要)

請求を終えて

  • 今回は複数の障害を持つケースでした。
  • 併合の手法については認定基準に記載があります。
  • 今回の請求にあたり、2つの障害の各診断書の内容からそれぞれの障害が何級に該当するかを検討いたしました。その上で、それぞれの障害が併合された場合に1つ上の等級に認定されるかについて検討いたしました。
  • 併合認定を視野に入れて障害年金を請求する場合には、どの類型に該当するか、併合認定後の等級が上位等級に認定されるかの判断が必要です。
  • 専門的な判断が必要なケースについて、ご相談ください。