パーキンソン病
複数の診断書の提出を検討

パーキンソン病で障害年金を受給できるでしょうか

ご相談者

男性(58歳)

障害の種類

  • パーキンソン病

状況(発育歴・治療歴)

  • 発症前から現在まで厚生年金加入中
  • 10年前くらいにパーキンソン症状が出現したが、当初は症状が軽く、自営の仕事もこなせていた。
  • 最近は歩行困難、転倒、パニック、過度の緊張の症状が悪化し、日常生活が困難になっている。症状が悪化してからはほとんど仕事ができず、収入が激減した。
  • 最近は薬効時間が短くなり、症状が良くなったり悪くなったりを一日のうちに何度も繰り返すようになった。
  • 最近、パニック、過度の緊張、何をしても楽しくない、など精神症状も現われるようになった。

ご相談の内容

パーキンソン病で障害年金を受給できるか。

障害年金を受給できるかどうかの判断基準は、パーキンソン病という病名ではなく、パーキンソン病によってどのような障害の状態にあるかということが重要となります。

パーキンソン症候群は、手足の震え、筋肉がかたくなる、動作に時間がかかる、姿勢の立て直しができない、などが見られます。このパーキンソン症候群のなかで、もっとも頻度が高い疾病がパーキンソン病です。パーキンソン病は、以下の運動症状がみられ、これらをパーキンソン病の四徴と呼びます。

  • 振戦(自分の意志とは関係なく、自然に手足や身体が動いてしまう症状)
  • 筋固縮(筋肉がこわばり、身体がスムーズに動かなくなる症状)
  • 無動(すばやい動作ができなくなる症状)
  • 姿勢反射障害(身体のバランスがとりにくくなる症状)

上記4徴以外にも、身体機能や自律神経の異常、精神・認知の異常、感覚の異常、睡眠障害など、様々な症状が現われることがあります。
パーキンソン病は難病に指定されており、有病率は、人口10万人に対し120人前後(全国で12万~15万人)とされています。50~70歳で発症するケースが多く、高齢者ほど有病率が高いため、人口の高齢化にともない有病率も増加傾向にあります。
パーキンソン病は薬物療法が中心となります。薬剤の治療効果は飛躍的に向上していますが、症状の進行にともない、薬剤効果の減弱、ウェアリング・オフ現象(効果時間の短縮にともなう日内変動)、幻覚、ジスキネジー(様々な不随意運動)などが生じます。

パーキンソン病は、薬剤の治療効果が十分にみられるうちは障害年金の対象となりません。上記、薬剤効果の減弱、ウェアリング・オフ現象が生じるなどして、日常生活が制限されるようになると、障害年金の対象となります。

相談者様の主な症状は、歩行障害、姿勢反射障害、精神障害が顕著ですので、肢体の障害用の診断書(様式第120号の3)、精神の障害用の診断書(様式120号の4)の二種類の診断書を併せて提出されると良いと思います。肢体の障害用で運動症状を、精神の診断用で非運動症状について記載してもらうよう、医師に依頼します。精神の診断用では裏面の「日常生活能力の判定」「日常生活動作の程度」が重要な項目となりますので、診断書受領時は必ず確認して下さい。

ご相談をお受けして

パーキンソン病で一定の障害状態にある場合は、障害年金を受給できますが、実際には障害状態と合致しない等級と認定されたり、不支給となったりするケースが多々あります。その原因は、現状が反映されていない診断書を提出してしまったことによるものです。ご審査でご自身の障害の状態を理解してもらえるよう、診断書はきちんと確認することが重要です。また一種類の診断書で現状を十分に反映できないようであれば、複数の診断書を併せて提出することも必要です。