日常生活能力の判定
精神障害の診断書や病歴就労状況等申立書に日常生活能力についてチェックする欄がありますが、「どう判断したらよいか分からない」「全部『自発的にできた』にチェックしてしまった」等のご相談を受けることがあります。
日常生活能力の判定は、以下のような点について、単身でも可能かどうかを考慮いただければと思います。
一つの質問に対する答えが、複数の項目に当てはまる事項も多くあります(例えば、「適切な食事」の「包丁やガスコンロの使用」が「身辺の安全保持」につながり、「弁当の購入」が「金銭管理と買い物」につながる)。
適切な食事(食事・炊事)
- 声かけや取り分けがなくても適時に適量をとることができるか
- 極端な偏食や過食がないか
- 社食等の利用や弁当の購入ができるか
- 包丁やガスコンロが使えるか
- 簡単な調理や配膳、片付けができるか
- 献立が立てられるか
- 自分で食べたいものを選ぶことができるか
- 健康を配慮して食べる量を調節できるか
身辺の清潔保持(トイレ、着替え、掃除、洗面、入浴)
- 便器等を汚さず使用できるか、汚した場合に後始末できるか
- トイレットペーパーの使用量が適切か
- 季節やTPOを考えて衣服を選べるか
- 声をかけられなくても寒暖に合わせて着たり脱いだりできるか
- 衣服を前後逆に着用したり、襟元がだらしなかったり、裾が出ていたりすることはないか
- 自室の掃除や片づけができるか
- ゴミの分別ができるか
- 入浴、洗面、歯磨き、髭剃り、整髪等が声かけなしでできるか
- 髭剃りでは力加減を調節して剃り残しなく行なえるか
- 身体の隅々まで洗えているか
- 洗髪などがきちんとできているか
金銭管理と買い物(買物)
- お金の概念や流れ、仕組み、金額の大小や価値などの理解ができるか
- ATMの利用ができるか
- 給与等の管理ができるか
- 食べたいものや欲しいものだけではなく、必要な品物を判断して買い物できるか
- 予算の範囲で計算しながら買い物できるか
- 小銭を使えるか
通院と服薬
- 通院の必要性の理解や判断、自発的な通院が可能か
- 医師に病状を説明できるか
- 医師の話を理解し守れるか
- 受付や問診票の記入が可能か
- 服薬の必要性の理解ができるか
- 服薬時間、服薬量の判断ができるか
- 飲み間違いの危険がないか
他人との意志伝達及び対人関係
- 自分の意思や要件を相手にわかるように伝えられるか
- 相手の話を聞き、理解できるか
- 相手への伝え方を工夫できるか
- 友人関係の構築、他人との距離感や相手の気持ちの理解、配慮ができるか
- 集団のルールを理解し、守れるか
- 場に合わない言動がないか
身辺の安全保持及び危機対応
- 乗り物を安全に利用できるか
- 周囲に注意を払いながら歩行できるか
- 火の始末、刃物の使用、戸締りなどが適切にできるか
- 通常と異なる事態への対応ができるか
社会性
- 社会生活に必要な事柄や基本的なルールの理解、手続き、行政機関や銀行等の利用ができるか
- 公共交通機関や公共の施設の利用ができるか、マナーが守れるか