「病歴・就労状況等申立書」の書き方について

障害年金を請求する際には、以下の書類が必要です。

  • 診断
  • 受診状況等証明書(初診日の証明)
  • 病歴・就労状況等申立書

障害年金の審査の大部分は診断書で決まりますが、「病歴・就労状況等申立書」は診断書では十分伝えられない事実を伝える書類です。請求者側が自ら作成して申告できる唯一の資料であり、自分の障害状態を自己評価してアピールできるのはこの書類以外にありません。できるだけ具体的に、発病・受傷から現在までの状況を、日常生活の様子が目に見えるように、ポイントを押さえて作成する必要があります。


しかしながら、「病歴・就労状況等申立書」の記入方法が分からず、年金請求を諦めてしまう方もいらっしゃるようです。


そこで、今回は「病歴・就労状況等申立書」の記入ポイントをご紹介したいと思います。


事実をありのままに記載する(同思ったのかなどの感情の記載は不要)。

証拠となる書類等を確保する。

だれが(who
だれと(with whom
なぜ(why
いつ(when
どこで(where
何を(what
どんな方法で(how)
何をしたか(what)

「八何の原則」をあてはめた「病歴・就労状況等申立書」の具体的な記入例は、

〇〇の症状を苦痛に感じ、〇年〇月〇日〇〇病院にて〇〇の治療を受けた

〇〇の紹介で〇年〇月〇日~〇年〇月〇日〇〇会社で〇〇の援助・配慮を受け、〇〇の仕事に従事していた 

〇年〇月〇日、交通機関の利用が困難なため、介護ヘルパーと送迎車で〇〇ケアセンターに向かい、〇〇のリハビリを行なった

両手に麻痺があり、毎食とも母親の介助を受けて食事をとっている


以上のように、「八何の原則」に基づき、年月日順に自覚症状、日常生活の状況、就労状況、日常生活で家族の支援を受けている場合はその状況を具体的に明確に記入していくことが大切です。事実をありのままに記載し、どう思ったかなどの評価や感情の記載はしないようにします。


当事務所に障害年金サポートを依頼された場合、病気のことや生活状況等、本来ならば人に知られたくないような事柄についても詳しくお聞きしますので、戸惑われることがあるかもしれません。しかしながら、「病歴・就労状況等申立書」を作成するには、事実を的確に把握する必要があるのです。プロフェッショナルの社会保険労務士がポイントとなる要素をヒアリングして案を示し、本人やご家族と協議をしながら「病歴・就労状況等申立書」を仕上げていきますので、安心してお任せいただければと思います。

「病歴・就労状況等申立書」を記載するときに注意すべきことはありますか。

「病歴・就労状況等申立書」は、障害年金請求者(またはご家族)が作成する書類で、審査において病状の経過や日常生活の状況を把握するための重要な資料となります。「病歴・就労状況等申立書」を提出する目的は、以下について申立てすることにあります。

  • 発病から初診日までの傷病の経過
  • 初診日以降の受診状況(途中で転院があった場合はその履歴)
  • 初診日以降の傷病の具体的状況
  • 初診日以降の就労状況

注意点1

発病から現在までのストーリーが途切れないように記載します。3~5年を一区切りにして記載しますが、入院や通院、障害認定日前後などの節目ごとに細かく分けて書くのも良いです。

注意点2

傷病の具体的状況を記載しようとすると、他人に知られたくないようなことを記載しなければならないことがあります。「病歴・就労状況等申立書」は、傷病の状態が障害等級に該当する状態になったと推測される時期、および障害の程度を判断するための重要な資料となりますので、できるだけ実情をありのまま記載されることをおすすめします。

注意点3

障害の程度を必要以上に重く見せようとして、医師の作成した受診状況等証明書や診断書の内容と矛盾するような記載があると逆にマイナスになることがあります。

注意点4

厚生年金加入中の就労状況について、本来はとても就労できる状態ではないのに、親族が経営する会社に在籍(勤務)している場合で、従来通りの報酬を得ているときは、その旨記載してください。

注意点5

先天性または先天性の可能性がある傷病は、出生時から記載する必要があります。

注意点6

以前に治癒したはずの傷病が再発・悪化した場合は、原則として最初の発病時点から記載する必要があります。

注意点7

過去に治癒した傷病が再発・悪化したことにより障害年金を請求する場合で、その傷病に対する最初の初診日が分からない(またはその当時のカルテが破棄されている)など、過去に治癒した傷病罹患を断ち切りたい場合は、傷病治癒後の社会復帰の状況を「病歴・就労状況等申立書」に記載してください。

さいごに

「病歴・就労状況等証明書」の記載では、医師が作成した「受診状況等証明書」や「診断書」を軸に、これらの書類では見えない日常生活上の不自由さを記載していくことが重要となります。全体の流れを重視し、具体的に記載すると良いです。

当事務所に依頼いただいた場合、日常生活の状況を細かくお聞きし、その内容を元に当方で作成いたします。当方で作成した「病歴・就労状況等申立書」は、ご本人様、ご家族様に確認をしていただきます。間違っている点、おかしいと思われる点については遠慮せずご指摘いただくよう、お願いをしております。また、躊躇なく指摘いただけるような雰囲気をつくることが私どもの任務でもあると思っております。